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S-310-34号機で大型薄膜の展開実験(8月9日予定)

 JAXA宇宙科学研究本部はS−310型観測ロケットを用いて、太陽光を反射して推力を得るソーラセールの実用化を目指した大型薄膜の展開実験を行います。

1.研究の目的

 太陽光を反射して推力を得るソーラセールの概念は古くからありましたが、近年、宇宙空間の過酷な環境に耐えることができる極軽量な薄膜が利用可能になったため、諸外国ではソーラセールの実用化を目指した実験が行われはじめています。本機構でも、実用化を目指して、地上での基礎実験を実施してきましたが、重力と空気の影響が大きく、実験可能な薄膜の大きさに制約があり、これが大型薄膜の展開挙動の把握を困難にしています。そのため、地上では不可能な大型薄膜の展開実験を、観測ロケット飛翔中の高真空、無重量環境下で実施することにより、大型薄膜の展開挙動をより正確に把握することを計画しました。
 本ロケット実験は、ソーラセールの実用化を目指して

  • 大型薄膜の設計・製作手法を取得すること
  • 大型薄膜の展開挙動と展開後形状を観測し、解析予測と比較、検証を行うことにより、膜面挙動解析手法を向上させること

を目的として、実施します。

2.実験方法

 本ロケット実験では、2種類の異なる展開方式及び展開形状の大型薄膜を観測ロケット先端に収納し、高真空、無重量になる高度約120km以上の空間で、順次セールを展開します。これらの展開挙動及び展開後の形状を、ロケットに4カ所搭載されたカメラで撮影し、その画像を地上に伝送します。本実験は、高真空、無重量になる時間、つまり、実験可能時間を長くするために、極力、高い高度に打ち上げる必要があります。また、カメラ視野に極力太陽が入らないようにするために、打上時刻を日没直前に設定しています。

観測ロケットS−310−34号機に搭載する実験機器は以下の通りです。
  逆傘型ソーラセール
  扇子型ソーラセール
  画像圧縮装置
  カメラ

3.実験概要

3−1.概要

 平成16年度第1次観測ロケット実験においてS−310−34号機による観測実験を行う計画で,実験目的・ロケットの概要は以下のとおりです。

ロケット 到達高度 水平距離 全長 全重量 搭載機器重量
S-310-34 170km 210km 7.4m 0.7t 37.7kg

3−2.実験実施責任者

 独立行政法人
  宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究本部長 鶴田 浩一郎
 (神奈川県相模原市由野台3-1-1 TEL(042)751-3911(代))

3−3.実験主任

 独立行政法人
  宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究本部 助教授 峯杉 賢治

3−4.実験場所

 独立行政法人
 宇宙航空研究開発機構内之浦宇宙空間観測所
 (鹿児島県肝属郡内之浦町南方 TEL(0994)67-2211(代))

3−5.実験期間

 平成16年8月9日(月)〜9月30日(木)
 ロケット実験の実施予定は次の日時とします。

実験予定日 実験時間帯 延期する場合の期間
8月9日(月)17時15分 17時15分〜17時45分 8月10日〜9月30日

3−6.実験の要領

 ロケット実験は、天候及び研究上の都合で延期することがあります。延期の理由が天候によるときは、当日出来るだけ早く通知する手段を講じます。また、研究上の都合により延期するときは、不測の障害に基づく場合以外は前日中に通知する手段を講じます。

2004年8月9日

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