概要:時間反転双対原理により高効率電力増幅器は一定の条件下で高効率整流器に転用することができます。 この原理により、高次高調波までを考慮して電圧・電流波形処理をしたり、寄生リアクタンスを補償したりし、 複雑に最適化された高効率マイクロ波電力増幅器設計法をそのまま整流器設計に転用でき,効率的に研究開発が行えます。 本講演では、まず時間反転双対性の基本原理,ならびにE級、F級など高調波処理増幅器とE級およびF級整流器の 関係を解説します。さらに、最近の研究成果の一例として,高調波負荷が純リアクタンス化され,さらに基本波の 力率が調整された5.5GHz帯(R級)GaN HEMT高効率電力増幅器(出力32dBm,ドレーン効率82%)と、時間反転双対原理に 基づき実現された5.5GHz帯GaN HEMT高効率整流器(変換効率78%), さらにこれらを用いたDC-DC変換器について説明します。 また一つのモジュールで増幅器と整流器の機能を電子的に切り替えられるワイヤレススマートモジュールと, 今後の応用展開についても述べます。 加えて、今後増々重要となるR級増幅器の広帯域化に関して、信号源側の2次高調波終端条件が重要となることを示し, 開発した2GHz帯GaN HEMT R級増幅器(出力70W,ドレーン効率84%、付加電力効率79%)の帯域が450MHzに拡大されたこと などを紹介します。