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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第469号

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ISASメールマガジン   第469号       【 発行日− 13.09.17 】
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★こんにちは、山本です。

 台風18号で被害にあわれた方、お見舞い申し上げます。
 それではいつものように始めましょう。

 お待たせしました。
イプシロンロケット試験機は14日に打上げが成功して、惑星分光観測衛星「SPRINT-A」も無事に分離されて「ひさき(HISAKI)」と名付けられました。

 森田プロジェクトマネージャーの記者会見での満面の笑みが、ニュースに溢れていました。

 8月から内之浦に出張していた人たちも、今週から相模原でしょうか?
それとも遅い夏休みでしょうか?

 記者会見で紹介されていた イプシロンロケットと「ひさき(SPRINT-A)」の性能計算書の表紙はこちら(下の方です)
http://www.isas.jaxa.jp/j/topics/topics/2013/0914.shtml

「性能計算書って何?」という方はこちら
新しいウィンドウが開きます http://www.isas.jaxa.jp/j/japan_s_history/chapter10/06/index.shtml

 今週は、宇宙教育センターの渡邉 敦(わたなべ・あつし)さんです。

── INDEX──────────────────────────────
★01:良い技術、良い心
☆02:イプシロンロケット試験機打上げ成功!惑星分光観測衛星の愛称は「ひさき(HISAKI)」に
☆03:宇宙学校・ほうふ【防府市青少年科学館】9月21日(土)
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★01:良い技術、良い心

 ISASメールマガジンをよくよく読み返してみると、宇宙航空科学の様々なスペシャリストが寄稿されていますね。全部を理解しようとしたら、知識の海に溺れてしまいそうなくらい、たくさんの情報が詰まっています。今一度読み返してみると、新たな発見があるかもしれませんよ。
ちなみにこのメルマガをご覧になっている皆様は、どの分野に興味や関心をお持ちですか?

JAXAでは「宇宙」と「教育」をつなげる仕事もしているということをご存知でしたでしょうか?

「宇宙が子どもたちの心に火をつける」
これは宇宙教育センターの理念です。
JAXAの専門分野である「宇宙」という素材を活かして、未来を担う次世代育成のための教育をお手伝いする、というのが私たちの仕事です。


 宇宙教育センターでは大きく分けて3つ、学校教育支援、国際活動、社会教育支援という分野に分けて事業を展開しています。
学校教育は字のごとく、学校教育の現場で宇宙教育を導入、実施するための支援活動を、国際活動では海外の宇宙機関と連携した会議や学生派遣プログラムなどを実施しています。

今回は、私の在籍している社会教育の取り組みを、ちょっと詳しく紹介したいと思います。


 社会教育では、年齢別体験型1日教室プログラムであるコズミックカレッジ、実際の現場での見学や体験をしてもらうホンモノ体験、そして青少年のための宇宙教育活動の指導者育成を目的とした宇宙教育指導者育成を主に行っています。


 コズミックカレッジは、体験から子どもたちの心に醸成されるワクワク感や感動、好奇心の発露を重視した1日型の子ども向け宇宙プログラムです。市民の方々が主体となって全国各地で年間200件近い回数を実施しており、子ども達に様々な教育の機会を提供したいという、意識の高さがうかがえます。

小さいころにコズミックカレッジに参加したことがきっかけで、現在では子どもたちに教える立場になられた方もいるほど、地域に根付いた活動となっています。


 小学校高学年から中高生を対象としたホンモノ体験では、JAXAでしか提供できない宇宙の本物にふれるプログラムを体験することで、将来の人生観や職業観を養うための一助を目的とし、JAXA関連の施設を利用したJAXA職員による講座や施設見学などの合宿形式体験学習や、実際のロケットの打ち上げを取材する1日宇宙記者などのプログラムを提供しています。

プログラムが終了した後も継続して参加者間の交流が続いているほど、全国各地から集まる高い志を持った若者たちの心に強く残るプログラムとなっています。


 宇宙教育指導者セミナーは、地域で活動する宇宙教育の実践者による指導者育成の一環として、全国各地で開催しています。身近な素材を利用した教材製作を通して、宇宙とのつながりや指導上の注意点を学ぶことで、地域で活動できる人材を育てましょう、というのがセミナーの目的です。

現在では5千人近い方々にご参加いただき、今後は地域の特色を活かした宇宙教育活動が展開できるよう方向付けを行っていこうとしています。


 宇宙教育センターの目標は、宇宙科学の探求でも技術開発でもなく、ましてや宇宙マニアを増やすことでもありません。宇宙というツールを通じて様々な事象に対して興味や関心を引き出し、モノづくり精神や命の大切さなどを考えることのできる、次世代の人づくりの一端を地域の方々と一緒になって担いたい。そんな想いで職員一丸となって業務に励んでいます。


 今回のメールマガジンで、少しは宇宙教育センターの取り組みについて理解いただけたでしょうか。

 「良い技術」と「良い心」はセットです。


 どれだけ最先端の技術力を持っていても、使い方で世の中を良くも悪くもします。良い技術を高めるためには、様々な人々と連携して事に励まなければなりません。支え合う、励まし合うといった良い心があってこそ、成し得るものだと思います。

 私たち宇宙教育センターの教育活動は、良い技術と良い心を育てる、その基礎を創る仕事だと考えています。


 寄稿のチャンスがまたあれば、次回は面白話も加えていろいろ紹介していきたいと思いますので、今後の事業展開にどうぞご注目下さい。


(渡邉 敦、わたなべ・あつし)

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※