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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第381号

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ISASメールマガジン   第381号       【 発行日− 12.01.10 】
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★こんにちは、山本です。

 5日・6日と 年明け恒例になっている「宇宙科学シンポジウム」が開催されました。宇宙科学の関係者が集まるシンポジウムで、休憩時間になると、A棟のロビーは多くの研究者であふれていました。

 ちょうどそんな時間にロビーを通りかかり、退職された懐かしい先生たちにお会いすることができました。

 先日、相模原チャンネルのスタジオを見てきました。

「エッ こんなに狭いところで!」

 元喫煙室だった部屋を転用したので タバコの臭いが凄かったそうです。
そこで大活躍したのが『消臭剤』。利用開始までに部屋のアチコチに置いて消臭したと広報のYさんから伺いました。

 今週は、宇宙科学広報・普及主幹の阪本成一(さかもと・せいいち)さんです。

── INDEX──────────────────────────────
★01:2012年の宇宙科学関連イベント
☆02:宇宙学校・せたがや ー宇宙に夢中!ー(2012年1月15日)
☆03:「はやぶさ」カプセル等の展示スケジュール
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★01:2012年の宇宙科学関連イベント

 年が改まって2012年となりました。昨年を振り返ると、やはり大きかったのは3月11日の大震災と、それに伴って発生した福島第一原子力発電所の事故でした。

私自身は年150回を超える講演に飛び回りましたが、科学者として社会に適切なタイミングで適切に情報発信していくことの難しさを改めて感じた一年でもありました。


 計画停電や節電要請への対応に加え、被災した筑波からも衛星が搬入される中で、展示室は一時閉鎖、ISASのウェブサーバーも頻繁にシャットダウンを余儀なくされましたが、イトカワ微粒子の初期解析への提供など各種の研究開発は大きな遅滞なく進められました。

また、そんな混乱の中で「はやぶさ」映画の制作は粛々と進められました。(制作会社3社とメーカー・JAXAのキーパーソンが管制室に集まって全体打ち合わせをしたのは震災2日後の3月13日のことでした)

夏の特別公開も、何とかやりくりして節電モードでの公開を行うことができました。願わくば今年は普通の年となってほしいものです。


 2012年は宇宙科学関連での国内からの大型ロケットの打上げ予定はありません。

観測ロケットや大気球などの小型飛翔体を用いた実験や、国際宇宙ステーションでの宇宙環境利用実験などが粛々と進められます。

広報普及の観点では派手な打上げの機会がないのは残念なことですが、ちょうど冬芽の中で翌春に芽吹く準備が着実に進められているのと同じように、2013年度の打上げに向けて開発が進む小型科学衛星SPRINT-AやX線天文衛星ASTRO-H、来年ESAへの引き渡しを予定している水星磁気圏探査機MMOなどの組立・調整が、相模原キャンパス内の飛翔体環境試験棟で重ねられています。

また、すでに運用を終了したプロジェクトでも、小惑星探査機「はやぶさ」をはじめ、月周回衛星「かぐや」や赤外線天文衛星「あかり」などでも、優れた成果が着実に挙がっています。

また、とかく大型プロジェクトに関心が集まりがちな中で、萌芽的な研究や研究室レベルでの個別の研究、要素技術開発などをご紹介するよい機会だともとらえるようにしています。

今年はこれらの取り組みや成果を、見える形でご紹介していきたいと思います。


 一方、日本の宇宙科学の歴史にとって節目となる行事が今年はいくつも予定されています。

その一つは「日本の宇宙開発の父」と称される糸川英夫先生の生誕百周年。
そして、内之浦宇宙空間観測所と能代ロケット実験場の開所五十周年も控えています。五十年もたつと現役は当時のメンバーとほぼ完全に入れ替わります。
諸先輩方が築きあげてきた歴史を風化させないためにも重要な行事だと位置付けています。


 また、今年は天文現象も盛りだくさんです。

5月21日の朝の金環日食では相模原や肝付、筑波などが金環日食帯に入るのをはじめ、

6月4日には部分月食、

6月6日には金星が太陽の前を横切る日面経過、

8月14日の未明には金星が月に隠される金星食など、

宇宙科学にも関連した興味深い現象が見られます。


 一般の関心の高い天文イベントは、ふだん宇宙に関心のない方にアクセスするためのまたとない機会です。実際、昨年12月10日の皆既月食の際にJAXAX相模原チャンネル
(⇒ 新しいウィンドウが開きます http://www.ustream.tv/channel/jaxa相模原チャンネル
を通じて行った月食中継は視聴者数が延べ68万人を記録し、その直前に相模原市立博物館で行った私の「皆既月食直前ガイド−月並みでない月の話」も、会場で生でお聞きになったのは150名程度でしたが、中継では9万人程度の方にご覧いただきました。

これらの影響で、平時のストリーミング映像の視聴者数も飛躍的に増えたようです。

今年もこのような機会を通じて宇宙ファンを増やしていきたいと思います。
どうぞご期待ください。


(阪本成一、さかもと・せいいち)

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※