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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第341号

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ISASメールマガジン   第341号       【 発行日− 11.04.05 】
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★こんにちは、山本です。

 管理棟前のサクラがやっと咲き出しました。サクラが咲くと、春が来たのを実感します。

 4月になって、相模原キャンパスの見学も再開されました。春休み中ということもあり、玄関ホールの展示室には 子どもたちの声が響いています。

 先週、相模原キャンパスの計画停電について書いたところ、相模原市民の読者の方からメールがきました。
「由野台は計画停電の対象外と相模原市のホームページにありますが、メルマガには計画停電がありますとの記載です。計画停電の対象外ではないでしょうか・・・。」
 そうなんです。由野台では、相模原キャンパスだけ? が停電の対象になっています。
 見学を計画されている方には ご迷惑をお掛けしますが、働いている私たちも停電対応に懸命です。

 皆で 節電を心掛ければ、停電を回避できます。電力の安定供給が復旧するまで、その先も、無駄な電力を消費しないようにしましょう。

 今週は、赤外・サブミリ波天文学研究系の山村一誠(やまむら・いっせい)さんです。

── INDEX──────────────────────────────
★01:「総研大アジア冬の学校」雑感
☆02:宇宙科学講演と映画の会【新宿明治安田生命ホール】4月9日(土)
☆03:「「はやぶさ」カプセル等の展示スケジュール
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★01:「総研大アジア冬の学校」雑感

 2月15〜17日の三日間、相模原キャンパスで「総研大アジア冬の学校」が開催されました。ご存じの方も多いと思いますが、宇宙研はJAXAの一員であるとともに、総合研究大学院大学(総研大)を構成するメンバーでもあります。総研大には、東大などと並んで宇宙研で学ぶ大学院生が大勢所属しています。これら若手の共同研究の芽を育てたり、優秀な留学生を獲得しよう、ということで、毎年アジア地域の学生・若手研究者を招いてワークショップをやっています。これが「アジア冬の学校」です。今年も、120通を超える申し込みから選ばれた、海外20名、国内5名の精鋭が参加しました。

 「アジア冬の学校」については、ISASニュース3月号などでも報告を書いているのですが、ここでは紙面の都合で書けなかった個人的な雑感などをいくつか。


1.雪で出迎え

 参加者が相模原に到着したのは、2月14日。覚えている方もいらっしゃるかと思いますが、関東地方は今年一番の大雪(とは言っても相模原で数cmの積雪)の日でした。成田空港に午前中に到着した参加者は、雪が激しくなる前に出迎えのバスで古淵駅近くのホテルに到着。が、午後到着組を乗せたバスが出発する予定の夕方までに雪はどんどんひどくなり、さらには霧島新燃岳の噴煙の影響で一部の飛行機の到着が大幅に遅れるというアクシデント発生。結局バスが空港を出たのが22時頃。その頃にはたっぷり積もった雪のせいでバスはスピードを出せず、ホテルに到着したのは夜中の3時過ぎだったとのこと。いやいや長旅お疲れ様でした。ほとんどが暖かい国からの参加者なのにどうしてだろう、と思っていたら、新潟大学に留学しているフィリピン人の学生さんがいました。雪から逃げて来たはずが、一緒に運んできてしまった模様。


2.ベトナムの小型衛星

 ベトナムの大学から参加した二人の若手エンジニア。大学院生くらいの年齢ですが、研究所の精鋭。恐らくかの国では超エリートなのでしょう。彼らの発表は、自分たちの衛星開発の紹介でした。衛星の組立も手作り。試験装置も皆手作り。衝撃試験に至っては、おっきなハンマーで直接ひっぱたくという・・・と言っても笑ってはいけません。宇宙研の衛星だって、かつてはそのようにして試験をしていたとのこと(もちろん私も退職された先生方からお聞きしたことです)。しかも作業はすべてオフィス兼用の大部屋の中でやっているのだそうです。最新のソフトウェアでのシミュレーションと並行して自分たちで工夫して手を尽くして作り上げているという姿に、心から応援したくなりました。しかも彼らは、自分たちの衛星のPM(試験モデル)そのものを持ってきて皆に見せていました。旅行鞄に詰めて。そんなことが出来るのか!と若いパワーに圧倒されたのでした。


3.真夜中の冒険?

 二日目は、予定を超過して終了が18時半近く。それからバスでホテルまで帰った参加者ですが、ほぼ唯一のフリータイムが短くなって、悪かったなぁと思っていました。翌朝、最前列の何人かが疲れたような顔をしています。さては町田あたりで語り明かしていたのだろうか、と思って話を聞いてみると。
「東京タワーを見に行ってきた!」
・・・「え!?」。
どうやって行ったかは聞きそびれましたが、おそらく小田急線で新宿に行ったか、千代田線に乗り換えたのでしょう。しかし都心で完全に迷子になってしまったそうで、這々の体でホテルに戻ってきたのが夜中の1時過ぎ。
「で、東京タワーは見たの?」
「いや、何も見えなかった。」
あれあれかわいそうに。まあ、無事に帰ってきただけでも良かった。あまりに気の毒なので、最終日、相模原から成田空港へ向かうバスの運転手さんにお願いして、首都高経由で行ってもらうようにしました。せめてバスの中からだけでも見てもらえただろうか。


4.日本食と言えば?

 参加者にはベジタリアンやムスリムも(かなり)いたので、食事の手配は大変でした。昼食と懇親会はハーベスト店長にいつも以上に腕をふるっていただいて、彼らでも安心して食べられるものを用意してもらいました。それはともあれ、アジアの人々にとっての日本食と言えば・・・三日目の昼食時、彼らが鞄からうれしそうに取り出したのは、コンビニで買った様々な種類のカップラーメンでした。一人で二つ食べるんだ、という人もいます。お湯を手配してくださった総務の皆様、ありがとうございました。うっかり食後に感想を聞き忘れましたが、本場の味は如何だったでしょう?


 私自身は仕事柄、これまでヨーロッパの人とのつきあいが多く、彼らの来日も(特に初めてだと)なかなか異文化を感じておもしろいのですが、同じ「外国人」でもアジア圏の人々はまた違った視点で日本を見ているのが新鮮でした。個人的にも大変良い経験をさせていただきました。

(山村一誠、やまむら・いっせい)

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※