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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第327号

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ISASメールマガジン   第327号       【 発行日− 10.12.28 】
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★こんにちは、山本です。

 一週間単位で仕事をしていると、気がついたら もう年末。いろいろあった2010年も今週号までです。

 小惑星探査機「はやぶさ」の帰還が、日本人研究者のノーベル化学賞受賞を抑えて、朝日新聞の2010年科学ニュースのトップに輝きました。

 今週は、その「はやぶさ」帰還のライブ中継ウラ(?)話を、宇宙科学情報解析研究系の三浦 昭(みうら・あきら)さんにお願いしました。

 新年は、次週1月4日配信の第328号からです。 乞うご期待!

 それでは 皆さま、よい年をお迎えください。

── INDEX──────────────────────────────
★01:こんなことがあろうとは
☆02:相模原キャンパス見学案内
☆03:「はやぶさ」カプセル等の展示スケジュール
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★01:こんなことがあろうとは

 一年に2回お目にかかるのは初めてとなりました。三浦でございます。
 今回は、6月の「はやぶさ」ライブ中継のご報告です。

 ライブ中継を楽しみにしていて下さった方々には、大変申し訳ないことになりましたが、中継の間、全てのWebリクエストに応えることはできませんでした。(_o_)
 そんな中、「はやぶさ」の特設サイトや諸々の関連サイトをご覧頂きました皆様方に感謝致します。

 さて5年前のことになりますが、小惑星イトカワに着陸した時のライブ中継で、相模原の広報用Webサイトへのアクセスは一日2300万ヒットを数えました。この時は、ライブ中継の途中に突然アクセスが増え、瞬間的には毎分5万ヒットにもなりました。その後は、中継終了まで凸凹はありましたが、毎分3万ヒット前後のアクセスが続きました。当時の宇宙研としては画期的なことでした。

 そして2010年。「はやぶさ」の帰還を迎えまして、5年前に引き続き、管制室のライブ中継をすることになりました。中継のストリーミング自体は外部のサイトでしたが、特設サイトやブログなど、様々な情報を相模原から発信すべく、準備が進められました。

 今回のライブ中継で、相模原の広報用Webサイトにどのぐらいのアクセスがあるのか、2005年のアクセス数から予想しました。2005年の9月〜10月頃(ライブ中継の前月、前々月)と比べると、2010年4月のアクセス数は、2倍弱でした。
すると、ライブ中継へのアクセスも、前回の2倍はあるかも?
という訳で、瞬間的なピークは予想が付きませんが、定常的なリクエストは毎分10万ヒット以上応えられるようにサーバを調整しました。

 そんな装備でだいじょうぶか?
今なら、こう言ったことでしょう。

 6月13日。
朝からブログやTwitterが次々と更新され、広報サイトへのアクセスもじわじわと増えてきました。
18時前になると、アクセス数は毎分3万ヒットを超えました。
そして運命の18時。ライブ中継のストリーミング開始予定時刻です。
用意したサーバ達は、一瞬で陥落しました。アクセスが殺到したのです。しかも瞬間的なものではありませんでした。その後は、可能な範囲でのチューニングや、「はやぶさ」帰還特設サイト等を優先したサービス継続を試みましたが、大気圏再突入前後には、用意した全てのサーバが目を回してしまいました。
今回はTwitterでの情報発信もできたのが不幸中の幸いでした。

 24時頃にはアクセスも落ち着いてきまして、ようやくサーバ達も正常にリクエストに応えられるようになりました。ライブ中継も終わって、熱狂も一段落したのでしょうか、と思っていたのですが、実はそうではありませんでした。
後で集計してみると、この時点で、アクセス数は毎分15万ヒットを超えていたのです。その時リクエストされたコンテンツを合算すると、毎分6ギガバイト(=60億バイト)近くになりました。これは推測でしかありませんが、その後のアクセス数の変化から逆算すると、ライブ中継の間は、凄まじいリクエストがあったのだと思われました。

 そのまま6月14日の未明を迎えました。
草木も眠る丑三つ時は、Webサーバへのアクセスも少なくなるのですが、この時は普段の100倍のペースでアクセスが続いていました。そして翌日にも関わらず、14日全体のリクエスト数は、4100万ヒットを超えたのでした。
皆さんが「はやぶさ」に対して、そこまで思いを寄せて下さっていたのだということを、改めて実感しました。「はやぶさ」にとっても、とても幸せなことだと思います。

 最近、幼稚園に息子の作品展を見に行きました。そこにはロケットと共に描かれた「はやぶさ」の絵がありました。(親が洗脳したという噂もありますが :-)
こんな小さな子供にも感銘を与えた「はやぶさ」に乾杯したいと思います。

 それでは皆様、良いお年をお迎えください。


(三浦 昭、みうら・あきら)
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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※