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ISASメールマガジン 第320号
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ISASメールマガジン 第320号 【 発行日− 10.11.09 】
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★こんにちは、山本です。
相模原キャンパス管理棟は、北向きに玄関があります。紅葉が始まったこの時期、2階までの全面ガラスに周りの木々が映って 紅葉が2倍楽しめます。
今週は、科学衛星運用・データ利用センターの鎌田幸男(かまた・ゆきお)さんです。
── INDEX──────────────────────────────
★01:宇宙機との交信に欠かせない電波
・そのアンテナ開発に欠かせない電波無響室
☆02::宇宙学校・こおりやま 〜宇宙に夢中!〜(11月28日(日))
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★01:宇宙機との交信に欠かせない電波
・そのアンテナ開発に欠かせない電波無響室
●電波とは
今や電波は、ラジオ・テレビはもちろんの事、携帯電話やGPS、ICカード、無線LAN等、さまざまな用途に使われていて、私たちの生活には欠かせない存在になっているのです。もちろん宇宙でも欠かせない存在で、これ無くしては、ロケットや衛星・探査機との交信が全くできないのですよ。それほど重要でありがたい存在なのですが、電波は見えないため、その存在を良く分かっている人は意外に少ないかもしれませんね。
分かっている方には少し退屈かもしれませんが、この電波について少し説明しますね。
歴史を辿りますと、イギリスのマクスウェルという偉人が、1864年にいわゆるマクスウェルの方程式から電磁波(電波)の存在を理論的に提唱しました。この電磁波のスピードは、真空中だと光の速さと同じ秒速約30万kmで進むことが分かりました。つまり、私たちがよく使っている電波は電磁波の一部で、周波数が3THz(3×10の12乗Hz:3兆Hz)までを電波と言い、さらに高い周波数を光波(赤外線、可視光線、紫外線)、10000THz以上は電離放射線(X線、ガンマ線)になります。
ここでHz(ヘルツ)とは、波が1秒間に振動する回数を周波数といいHzという単位が用いられます。
この電磁波の存在を実際に実証したのがドイツのヘルツで、1887年に火花放電装置による実験で、電波を発生させることに成功しました。この実験装置はミュンヘンのドイツ博物館に今でも大事に保存されており、この功績から、電波の単位にヘルツが使われるようになったのですよ。
電波の発生のメカニズムは、当然マクスウェル方程式を理解されれば分かるのですが、私のつたない説明では少し分かりづらいと思いますが、概略は以下のようになります。
例えば、
ある長さの導線(金属の線)に電流を流すと、そのまわりに磁界が発生します。
電流の向きが交互に変わると、磁界の強さが変わり、それによって電界が誘起されます。
また、その電界により新たな磁界が発生し、これが次々と繰り返して起こることで、電界と磁界が交互に発生しながら空間を伝わっていく波のことを「電磁波」といいます。
やはり、分かりづらかったですか?
少し補足しますと、磁界が変化すればその周囲に起電力が生じ(ファラデーの法則)、その変化を妨げるように電界が発生し、この電界の変化が導線を流れる電流と同じように、磁界を発生させるのです。
以上のことから、結局磁界の変化が電界を誘起し、さらにその電界の変化が磁界を誘起して、次々と連鎖が空間を伝わり電界と磁界が互いに鎖の輪のように絡み合って空間に広がっていくことになります。これが電波の正体なのです。
●宇宙機との交信に欠かせないアンテナ
ロケットや科学衛星又は「はやぶさ」「あかつき」等の探査機と地上局との交信、すなわち情報の“やりとり”には、この電波が必ず利用されます。
宇宙機の姿勢が今どうなっているか?
衛星内部の温度はどうか?
衛星は今どこをどう進んでいるのか?
等さまざまな情報を私たちは地上で見るために宇宙機からこれらの情報を乗せた電波を送信して受け取ります。また逆に、地上局からは宇宙機に対して、姿勢の変更、科学観測器に電源を入れて観測データの取得や、観測用センサーの展開等、さまざまな指令を乗せた電波を送信します。宇宙機はこの指令電波を確実に受け取るように設計されるのですよ。
この電波を送信したり、受信したりするのがアンテナ(Antenna)です。Antennaはラテン語で「昆虫の触角」の意味を持った語から来ています。
アンテナは、送信の時は、送信機から送られてくる電力を電波のエネルギーに変えて空間に放射し、逆に、受信の時は空間を伝わってくる電波のエネルギーを集めて電力に変えて受信機に供給するのです。要約するとアンテナは、導線を伝わる電力と電波との変換器と言えます。
皆さん、アンテナというと身の周りではどのような物を思い浮かべますか?
今でも家の屋根の上には、棒状の細長い金属棒を10数本位並べた形状や、ナベのような形をした金属物体が見かけられると思います。これらがテレビ用のアンテナで棒状の形をした地上波用のアンテナを八木・宇田アンテナといい、これは日本の八木博士と宇田博士が1926年に発明したアンテナで今でも世界中で使われています。また、ナベのような形のアンテナは、パラボラアンテナといいますが、もっと詳しく言うとオフセット・パラボラアンテナです。これは、衛星放送用のアンテナで日本ではBS(放送衛星)、CS(通信衛星)と2系統があります。
2つのアンテナは、形状が全く違うのですが、衛星放送は地上波放送の周波数が500MHz(5×10の8乗Hz)帯(地デジ)なのに対して、衛星放送の周波数はこれの約24倍の12000MHzと、非常に高い周波数を使っているので、形もかなり違ったものになっているのですよ。
つまり、アンテナはその用途や周波数によってさまざまな形状の物が考えられており、宇宙機用のアンテナも、そのプロジェクトの要求や宇宙環境に適合した最適化されたアンテナを考案する必要があるのです。
無線通信ではアンテナの特性は通信の成否を左右する装置で、宇宙機との交信が成立して初めて観測データを取得できたり、思い通りに宇宙機を操れるわけで、アンテナの特性は非常に重要になります。また、アンテナは受動機器ですから電力を消費せず発熱もしません。アンテナ系の最適設計は宇宙機の最適設計とスリム化に通じることになります。
今までロケット搭載用のアンテナをはじめ、科学衛星や探査機等数々のプロジェクトの要求に適合したさまざまな形状をしたアンテナを自ら設計し、開発をしてきました。ロケットのアンテナはフライト品まで自ら作る事が多く、衛星用のアンテナは、エンジニアリングモデルまでを自ら作り、フライト品はメーカーにお願いする事が多いです。ただ、フライト品までも自ら作った場合もあり、例えば「れいめい」のSバンドパッチアンテナと、新A棟の屋上に設置されている「れいめい」用地上局直径3mパラボラアンテナ、また、今とてもホットな「はやぶさ」の「カプセル」に搭載したビーコン用の錘付きスリーブ・モノポールアンテナ、イカロス搭載用の反射板付レンズアンテナやVLBI用パッチアンテナ等がそうです。
また、先進的なアンテナとして、宇宙機搭載用の高利得アンテナも従来は、地上と同様にパラボラアンテナが主流でしたが、「あかつき」やベッピコロンボのMMO搭載用には、宇宙機としては世界初となる平面アレーアンテナを搭載用アンテナとして開発しました。
これらの搭載用アンテナは、地上とは全く違う宇宙環境(温度、太陽光強度、放射線等)に耐えるように、構造や材料等も適応できるように考えて作っています。また、信頼性の確保や、その電気特性が思った通りになっているか等、多くの試験を地上で行なって、やっと完成となるのです。プレッシャーは有りますが、自分で作り上げたアンテナが宇宙でちゃんと動作することで、プロジェクトに貢献できる事が何よりの喜びです。
●アンテナ開発に欠かせない電波無響室
これらのアンテナの特性を精度良く測定するために“電波無響室”が必要となります。一般の部屋では、窓や隙間から携帯電話やテレビなど数多くの電波が侵入してきます。また、部屋の壁や天井に当った電波は反射をしてしまいます。このような所では、これらに邪魔されてアンテナの特性を測定する事ができないのです。そこで部屋の外側には、銅板で部屋全体を被い、トビラも金属製の特殊なシールドトビラにして、外部からは電波が入れないようにします。
さらに、部屋の内側には、全て電波を吸収する“電波吸収材”によって被うことで電波の反射が生じないようにすることで、電波的に大変クリーンな空間を作る事ができ、このような部屋を“電波無響室”または“電波暗室”と言います。
宇宙研の電波無響室は飛翔体環境試験棟1階の衛星試験クリーンルームの奥にあります。この電波無響室のシールド性能は約100万分の1の減衰性能があり、電波吸収材による吸収により壁等から反射してくる電波の強さは、約10万分の1と非常に少なくなります。宇宙研で開発されたアンテナは、ほとんど全てここで特性の測定を行っています。
部屋の内部はくさび状のとがった電波吸収材が無数にとび出しており、神秘的とも思える驚きの空間が広がっています。この電波吸収材は炭素の粉を含んだスポンジ状の材質で作られています。形がとがっているのは、電波が吸収材の中に入りやすい形をとっており、電波は中に入ると炭素に“うず電流”を誘起して、電波エネルギーが熱エネルギーに変換されることで、吸収されることになります。
長年ここを仕事場としてきて大変お世話になったこの電波無響室は、私の良き相棒です。これからも多彩な科学観測プロジェクトに応える新たなアンテナ開発に使われることとなりますので、これからもよろしくお願いしますよ。
(鎌田幸男、かまた・ゆきお)
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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※
ISASメールマガジン 第320号 【 発行日− 10.11.09 】
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★こんにちは、山本です。
相模原キャンパス管理棟は、北向きに玄関があります。紅葉が始まったこの時期、2階までの全面ガラスに周りの木々が映って 紅葉が2倍楽しめます。
今週は、科学衛星運用・データ利用センターの鎌田幸男(かまた・ゆきお)さんです。
── INDEX──────────────────────────────
★01:宇宙機との交信に欠かせない電波
・そのアンテナ開発に欠かせない電波無響室
☆02::宇宙学校・こおりやま 〜宇宙に夢中!〜(11月28日(日))
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★01:宇宙機との交信に欠かせない電波
・そのアンテナ開発に欠かせない電波無響室
●電波とは
今や電波は、ラジオ・テレビはもちろんの事、携帯電話やGPS、ICカード、無線LAN等、さまざまな用途に使われていて、私たちの生活には欠かせない存在になっているのです。もちろん宇宙でも欠かせない存在で、これ無くしては、ロケットや衛星・探査機との交信が全くできないのですよ。それほど重要でありがたい存在なのですが、電波は見えないため、その存在を良く分かっている人は意外に少ないかもしれませんね。
分かっている方には少し退屈かもしれませんが、この電波について少し説明しますね。
歴史を辿りますと、イギリスのマクスウェルという偉人が、1864年にいわゆるマクスウェルの方程式から電磁波(電波)の存在を理論的に提唱しました。この電磁波のスピードは、真空中だと光の速さと同じ秒速約30万kmで進むことが分かりました。つまり、私たちがよく使っている電波は電磁波の一部で、周波数が3THz(3×10の12乗Hz:3兆Hz)までを電波と言い、さらに高い周波数を光波(赤外線、可視光線、紫外線)、10000THz以上は電離放射線(X線、ガンマ線)になります。
ここでHz(ヘルツ)とは、波が1秒間に振動する回数を周波数といいHzという単位が用いられます。
この電磁波の存在を実際に実証したのがドイツのヘルツで、1887年に火花放電装置による実験で、電波を発生させることに成功しました。この実験装置はミュンヘンのドイツ博物館に今でも大事に保存されており、この功績から、電波の単位にヘルツが使われるようになったのですよ。
電波の発生のメカニズムは、当然マクスウェル方程式を理解されれば分かるのですが、私のつたない説明では少し分かりづらいと思いますが、概略は以下のようになります。
例えば、
ある長さの導線(金属の線)に電流を流すと、そのまわりに磁界が発生します。
電流の向きが交互に変わると、磁界の強さが変わり、それによって電界が誘起されます。
また、その電界により新たな磁界が発生し、これが次々と繰り返して起こることで、電界と磁界が交互に発生しながら空間を伝わっていく波のことを「電磁波」といいます。
やはり、分かりづらかったですか?
少し補足しますと、磁界が変化すればその周囲に起電力が生じ(ファラデーの法則)、その変化を妨げるように電界が発生し、この電界の変化が導線を流れる電流と同じように、磁界を発生させるのです。
以上のことから、結局磁界の変化が電界を誘起し、さらにその電界の変化が磁界を誘起して、次々と連鎖が空間を伝わり電界と磁界が互いに鎖の輪のように絡み合って空間に広がっていくことになります。これが電波の正体なのです。
●宇宙機との交信に欠かせないアンテナ
ロケットや科学衛星又は「はやぶさ」「あかつき」等の探査機と地上局との交信、すなわち情報の“やりとり”には、この電波が必ず利用されます。
宇宙機の姿勢が今どうなっているか?
衛星内部の温度はどうか?
衛星は今どこをどう進んでいるのか?
等さまざまな情報を私たちは地上で見るために宇宙機からこれらの情報を乗せた電波を送信して受け取ります。また逆に、地上局からは宇宙機に対して、姿勢の変更、科学観測器に電源を入れて観測データの取得や、観測用センサーの展開等、さまざまな指令を乗せた電波を送信します。宇宙機はこの指令電波を確実に受け取るように設計されるのですよ。
この電波を送信したり、受信したりするのがアンテナ(Antenna)です。Antennaはラテン語で「昆虫の触角」の意味を持った語から来ています。
アンテナは、送信の時は、送信機から送られてくる電力を電波のエネルギーに変えて空間に放射し、逆に、受信の時は空間を伝わってくる電波のエネルギーを集めて電力に変えて受信機に供給するのです。要約するとアンテナは、導線を伝わる電力と電波との変換器と言えます。
皆さん、アンテナというと身の周りではどのような物を思い浮かべますか?
今でも家の屋根の上には、棒状の細長い金属棒を10数本位並べた形状や、ナベのような形をした金属物体が見かけられると思います。これらがテレビ用のアンテナで棒状の形をした地上波用のアンテナを八木・宇田アンテナといい、これは日本の八木博士と宇田博士が1926年に発明したアンテナで今でも世界中で使われています。また、ナベのような形のアンテナは、パラボラアンテナといいますが、もっと詳しく言うとオフセット・パラボラアンテナです。これは、衛星放送用のアンテナで日本ではBS(放送衛星)、CS(通信衛星)と2系統があります。
2つのアンテナは、形状が全く違うのですが、衛星放送は地上波放送の周波数が500MHz(5×10の8乗Hz)帯(地デジ)なのに対して、衛星放送の周波数はこれの約24倍の12000MHzと、非常に高い周波数を使っているので、形もかなり違ったものになっているのですよ。
つまり、アンテナはその用途や周波数によってさまざまな形状の物が考えられており、宇宙機用のアンテナも、そのプロジェクトの要求や宇宙環境に適合した最適化されたアンテナを考案する必要があるのです。
無線通信ではアンテナの特性は通信の成否を左右する装置で、宇宙機との交信が成立して初めて観測データを取得できたり、思い通りに宇宙機を操れるわけで、アンテナの特性は非常に重要になります。また、アンテナは受動機器ですから電力を消費せず発熱もしません。アンテナ系の最適設計は宇宙機の最適設計とスリム化に通じることになります。
今までロケット搭載用のアンテナをはじめ、科学衛星や探査機等数々のプロジェクトの要求に適合したさまざまな形状をしたアンテナを自ら設計し、開発をしてきました。ロケットのアンテナはフライト品まで自ら作る事が多く、衛星用のアンテナは、エンジニアリングモデルまでを自ら作り、フライト品はメーカーにお願いする事が多いです。ただ、フライト品までも自ら作った場合もあり、例えば「れいめい」のSバンドパッチアンテナと、新A棟の屋上に設置されている「れいめい」用地上局直径3mパラボラアンテナ、また、今とてもホットな「はやぶさ」の「カプセル」に搭載したビーコン用の錘付きスリーブ・モノポールアンテナ、イカロス搭載用の反射板付レンズアンテナやVLBI用パッチアンテナ等がそうです。
また、先進的なアンテナとして、宇宙機搭載用の高利得アンテナも従来は、地上と同様にパラボラアンテナが主流でしたが、「あかつき」やベッピコロンボのMMO搭載用には、宇宙機としては世界初となる平面アレーアンテナを搭載用アンテナとして開発しました。
これらの搭載用アンテナは、地上とは全く違う宇宙環境(温度、太陽光強度、放射線等)に耐えるように、構造や材料等も適応できるように考えて作っています。また、信頼性の確保や、その電気特性が思った通りになっているか等、多くの試験を地上で行なって、やっと完成となるのです。プレッシャーは有りますが、自分で作り上げたアンテナが宇宙でちゃんと動作することで、プロジェクトに貢献できる事が何よりの喜びです。
●アンテナ開発に欠かせない電波無響室
これらのアンテナの特性を精度良く測定するために“電波無響室”が必要となります。一般の部屋では、窓や隙間から携帯電話やテレビなど数多くの電波が侵入してきます。また、部屋の壁や天井に当った電波は反射をしてしまいます。このような所では、これらに邪魔されてアンテナの特性を測定する事ができないのです。そこで部屋の外側には、銅板で部屋全体を被い、トビラも金属製の特殊なシールドトビラにして、外部からは電波が入れないようにします。
さらに、部屋の内側には、全て電波を吸収する“電波吸収材”によって被うことで電波の反射が生じないようにすることで、電波的に大変クリーンな空間を作る事ができ、このような部屋を“電波無響室”または“電波暗室”と言います。
宇宙研の電波無響室は飛翔体環境試験棟1階の衛星試験クリーンルームの奥にあります。この電波無響室のシールド性能は約100万分の1の減衰性能があり、電波吸収材による吸収により壁等から反射してくる電波の強さは、約10万分の1と非常に少なくなります。宇宙研で開発されたアンテナは、ほとんど全てここで特性の測定を行っています。
部屋の内部はくさび状のとがった電波吸収材が無数にとび出しており、神秘的とも思える驚きの空間が広がっています。この電波吸収材は炭素の粉を含んだスポンジ状の材質で作られています。形がとがっているのは、電波が吸収材の中に入りやすい形をとっており、電波は中に入ると炭素に“うず電流”を誘起して、電波エネルギーが熱エネルギーに変換されることで、吸収されることになります。
長年ここを仕事場としてきて大変お世話になったこの電波無響室は、私の良き相棒です。これからも多彩な科学観測プロジェクトに応える新たなアンテナ開発に使われることとなりますので、これからもよろしくお願いしますよ。
(鎌田幸男、かまた・ゆきお)
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