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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第237号

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ISASメールマガジン   第237号       【 発行日− 09.04.07 】
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★こんにちは、山本です。

 相模原キャンパスのサクラもやっと満開になりました。それでも、風に吹かれてサクラ吹雪が舞ってくるほどではないようです。もう少し花見が楽しめそうです。

 水曜日には、ニュースやメルマガでも話題になっていた宇宙飛行士も他の新人と一緒に研修でISASにやってくるようです。

 今週は、赤外・サブミリ波天文学研究系の山村一誠(やまむら・いっせい)さんです。

── INDEX──────────────────────────────
★01:お星様の話しをしましょう
☆02:第28回 宇宙科学講演と映画の会
☆03:今週のはやぶさ君
☆04:横浜のこども科学館でプラネタリウム番組「横浜から宇宙へ」公開
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★01:お星様の話しをしましょう

 私のような、天文学者の末席にこっそり座っているような者でも、講演を依頼されることがあります。私の場合、いわゆる「一般」の方向けのお話、あるいは学校(小学校から大学まで)への出前講義をすることが多いのですが、ときには他分野の専門家の研究会で、などというときもあります。幸い、これまでいただいたお題はほとんど、私自身が関わっているプロジェクトである、赤外線天文衛星「あかり」の紹介や、研究の専門である(はず)の、星の進化などについてでした。こちらも物好きなので「お誘いいただいたならば」と、いそいそと出かけていくわけです。

 大抵依頼は数ヶ月前に来るので、
「うん、そんな先なら余裕で準備できるな。」
と高をくくっているうちに、あっという間に当日が近づいて来ます。やっぱり準備はバタバタとすることになります。回数をこなしていくと、特に私の場合にはお話しできるテーマが限られているために、スライドのストックが出来てくるものですが、それでも毎回微妙にテーマが違いますし、時間も、聞きに来る方の層も異なりますので、準備にはそれなりの時間がかかります。毎回、スライドの順番をあーでもない、こーでもないと並べ直しつつ、
「あれ、あの絵は前に使ったけど、どのファイルに入っていたっけ???」
と整理が悪いコンピュータの中をひっくり返してみたり、
「この前出たあの画像を入れてみよう・・・だとするとこっちは無しか」
とか、ぐだぐだとやっているわけです。
「同じネタを使い回すと、『まえに聞きましたそれ』とかいわれそうだな」
などといらぬ心配もします。話しの流れがぴたりと決まるとしめしめなのですが、どうしても強引に話題を飛ばさなくてはならないときもあり、つなぎの台詞に苦吟します。

 聞いてくださる方によっても、話しやすさは変わってきます。学校だと、年齢層がほぼ揃っているので、言葉の使い方や、説明のたとえを選ぶのが比較的容易です。一般の方対象の講演会に来てくださる方は、わざわざ(参加費を払ってまで)来るだけあって、多少難しいことをお話ししてもがんばって聞いていただけるので、こちらとしても容赦なく(?)話すことが出来ます。逆に、うっかり曖昧なことを言ってしまうととたんに食いつかれて厳しい質問をいただくので、油断がなりません。

 質問といえば、怖いのは年配の方と、お子さんです。前者は、豊富な人生経験、特に元エンジニアの方など、専門的な(かつ我々天文学者とはちょっと違った)知識を基に攻めてこられるので、教養の浅い私などは質問の意図を理解するのがなかなか大変です。一方、お子さん〜科学好きの小学生からは、予測不可能な、かつ往々にして根源的な質問が来ます。「やられたっ!」と思うときもありますが、冷や汗をかきながらも何とか答えようとしています。

 プラネタリウムでお話をしたことが何回か有ります。先日はプラネタリウムのスタッフの協力を得て、実際にプラネタリウムで星を投影し、それに「あかり」が観測した赤外線で見た「星座」を重ねて投影していただきました。あくまで試験的な試みですが(「あかり」のデータが公開される一年以内には、一般の方にもお見せできるようにします)、自分たちの衛星のデータをプラネタリウムに投影してみるというのはなかなか感動的でした。とはいえ、自分で悦に浸っているだけではいけません。
 プラネタリウムでの講演は、私にとってはなかなか大変です。聞いてくださる皆さんの顔がよく見えませんので、今自分の話していることが分かってくれているのか、もう少し易しく説明しなおした方がよいのか、がよく分からないのです。勢い、こちらのペースでお話ししてしまい、後から「あれで良かったのか・・・」と反省する次第。さらに、暗いところで、ゆったりとした椅子で、人の声を聞く、というのはこれは大変心地よい気持ちにさせるもので、そのうちいびきが聞こえてきたりもします。私自身は特に気にしませんが(寝ちゃうような話しをすることは反省ものですが)、熱心に聞いている周りのお客さんに申し訳ないな・・・起こそうかな・・・でもな・・・と話しながら悩むことしばし。どうか皆さん、おやすみの際はお静かに。


ps.
 高校生体験学習プログラム「君が作る宇宙ミッション」を今年も開催します。7月下旬の予定で現在募集の準備を進めているところです。まもなく詳しい情報をお知らせしますので、今しばらくお待ち下さい。

(山村一誠、やまむら・いっせい)

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※