宇宙航空研究開発機構 サイトマップ

TOP > レポート&コラム > ISASメールマガジン > 2009年 > 第227号

ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第227号

★★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ISASメールマガジン   第227号       【 発行日− 09.01.27 】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★こんにちは、山本です。

 インフルエンザが流行しています。宇宙研の近くでも、100人以上の集団感染が起きています。私もなんだかクシャミが、鼻がムズムズして、目がショボショボ……

 どうやら 杉の花粉も飛んでいるようです。

 今週は、宇宙科学情報解析研究系の田村隆幸(たむら・たかゆき)さんです。

── INDEX──────────────────────────────
★01:宇宙研のDARTS(ダーツ)
☆02:S-310-39号機打上げ成功!
☆03:「宇宙学校・東京」東大駒場キャンパス
☆04:今週のはやぶさ君
───────────────────────────────────

★01:宇宙研のDARTS(ダーツ)

 今日は、1月10日(土曜)です。キャベツ、セロリ、たまねぎ、ベーコンを買ってきました。昼ごはんは、コロッケとパスタです。僕が作りました。買ってきた材料で、ポトフ(夕食)を作りました。これで今日、明日と食べられます。よし、やることはやった。後は自分の時間だ。そうだ、となりの駅にできたスポーツクラブで久しぶりに汗を流そう。そう思って15分くらい自転車を飛ばしてきました。スポーツクラブの前に着いた。坂を登ったりしたから、ちょっと疲れた。スポーツクラブで無意味に体力を使うのはあほらしいな。そう思って気がついたら、たまプラーザの駅前のカフェでミルクティを飲んでいます。よし、頼まれていたISASメルマガを書いてみよう。

 こんにちは。宇宙研の田村です。宇宙研に来て6年目の助教です。本日は、私の仕事周辺を紹介します。

 宇宙研の役目は、衛星を上げて、宇宙でしか実現できない実験・観測を行うことです。地上では観測が難しいX線で天体を観測(「あすか」、「すざく」衛星など)したり、地球の周りの磁場をその場で測定したり(「あけぼの」、Geotail)、赤外線で宇宙の地図を作ったりしています。
これらの衛星で取られたデータを整理・保存して、長い期間にわたって世界中の研究者が使えるように管理することが私の仕事です。DARTS(ダーツ)という宇宙科学のアーカイブシステムを運用しています。

 DARTSは多くの人の仕事で成り立っています。宇宙研の職員の中では、私がもっとも多くの時間をDARTSの仕事に使っていると思います。DARTSは、宇宙研の科学データ利用促進グループが運用しています。したがって、DARTSの責任者はグループ長の海老沢教授です。昨年のクリスマス当日、教授を中心に「持ち寄りパーティー」を職場のラウンジで開きました。教授は、自慢のカレーを作ってきました。スパイスが効いていてとてもおいしかったです。その日は、夜おそくまで盛り上がったようです。にもかかわらず、次の日の朝3時29分に、教授から仕事のメールが来ていました。教授の仕事に対する姿勢を見習いたいです。

 さて、DARTSは、計算機とネットワークをベースに運用しています。UNIXサーバが8台、数十TBのハードディスク、ファイアーウォールで守られた高速ネットワークなどから成り立っています。これらのシステムは、ある企業(システムインテグレータ)と協力で運用しています。昨年の9月から契約先が変わりました。今は、5,6人の若いスタッフが、日々、DARTSシステムの面倒を見ています。
「この計算機の様子がおかしいのだけど」
「セキュリティ診断がありますので、同席してください」
「この計算機をネットワークにつなげてください」
などという仕事を日々お願いしています。これらの人々の仕事を監督することも私の役目です。

 さて、DARTSにとって一番大切なものは、データです。衛星から取得した生データは、テレメトリデータと呼んでいます。このデータは、衛星固有の形式で、一般の研究者が見ても中身が分かりません。このテレメトリデータをそれぞれの分野での標準的な形式に整理・編集する必要があります。このようなデータ処理は、主に衛星プロジェクトの研究者が担当しています。データ処理を行うための計算機環境を整備することも私の仕事の一部です。

 データを科学者に配布するための手順を整える必要もあります。例えば「すざく」衛星は、おおよそ1日に一つの天体を観測します。ブラックホール、超新星爆発の残骸、正体のわからないガンマ線源などです。それぞれの天体の観測は、日本やアメリカなどの科学者が提案します。観測したデータは、1年の間は、提案した科学者だけが利用できます。他の人が見られないようにデータに「鍵」をかけます。これも私の担当する仕事です。

 上に述べた以外にもDARTSの仕事はいろいろあります。とても研究者だけでは実行できません。これらの仕事は、私と同じ部屋にいるパートナー職員の方にサポートしてもらっています。現在、男性2人、女性3人の方と働いています。みなさん、それぞれの長所を活かしてDARTSのために働いてもらっています。先に述べたクリスマス会には、揚げ物やパイを作ってきてくれました。本当においしかったです。先日は、産休中のパートナー職員の方が宇宙研に赤ちゃんを連れて挨拶に来てくれました。あかちゃんの登場で、職場がいっぺんに明るくなりました(また来てください)。

 というわけで日も落ちてきた。まだカフェにいます。スポーツクラブに出直そうか、家に帰って息子と遊ぼうか、幸せな土曜の午後です。

 なお、上で書いたような我々データ利用促進グループ活動の様子は、以下のPLAINニュースなどを参考にしてください。また、DARTSのURLもつけておきます。

PLAINニュース
新しいウィンドウが開きます http://www.isas.jaxa.jp/docs/PLAINnews/
DARTS
新しいウィンドウが開きます http://darts.isas.jaxa.jp/

(田村隆幸、たむら・たかゆき)

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※