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ISASメールマガジン 第202号
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ISASメールマガジン 第202号 【 発行日− 08.07.29 】
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★こんにちは、山本です。
先週、携帯でメルマガを読んでいる読者からメールが届きました。
「さて、今週のはやぶさ君の様子は?
今週のはやぶさ君
⇒ http:......
て書かれると、古っるい機種しか持ってない私、手も足も出ないんです〜ぅ。」
ご要望にお応えして、「今週のはやぶさ君」担当のOさんと話をして、メルマガにも転載することにしました。
月曜日から、夏休み目玉イベントのひとつ『きみっしょん』が始まりました。
20名の高校生が相模原キャンパスを闊歩していますが、私には、彼らをサポートしている大学院生と見分けがつきません。
この頃の高校生は大人びているのでしょうか?
それとも、大学院生がいつまでも若々しいのでしょうか?
その答えは、是非「一般公開」で「宇宙へのヒミツの入り口」と一緒に見つけてください。
今週は、宇宙科学情報解析研究系の三浦 昭(みうら・あきら)さんです。
── INDEX──────────────────────────────
★01:うちゅう、こわくないよ
☆02:特集:太陽観測衛星「ひので」
☆03:今週のはやぶさ君
───────────────────────────────────
★01:うちゅう、こわくないよ
先日、書店で天体観測のDVDを買ってきました。
目的はただ一つ、幼い息子に宇宙の感動を伝えること、でした。
遡ること○十年。私が生まれ育ったのは山の中で、曇りの夜は辺り一面真っ暗になるようなど田舎でした。逆に晴れた夜は、月が無くても建物や地面の姿がうっすらと見えるような、まさに星影が堪能できる所でした。
(そんな私にとって、東京で初めて見上げた夜空は、晴れているのに白々として、北斗七星が北斗5〜6星にしか見えない、謎の世界でした)
私の子供の頃はバイキングが火星に着陸し、パイオニアやボイジャーが次々と木星や土星に接近していた時期でした。残念ながらアポロの月着陸はリアルタイムには覚えていませんが、学習雑誌などでアポロが辿った行程を見てわくわくしたものです。
その頃は、新聞の一面に大きく載った土星の写真など、スクラップブックに貼ったりしていました。それまでの図鑑などに載っていた惑星の写真とは比べるべくもない、圧倒的な姿に驚きました。円に見えていた惑星は球形で、土星の輪は円盤なのだと実感しました。はたして火星に生命はいるのか?バイキングのニュースにのめりこんでいました。テレビで見た映像で、火星の空は赤い縞模様なのだと思っていたのですが、これは火星の夕焼けをデジタル処理した写真だったようです。……なんて勘違いもありましたが。
それから10年ぐらいたつと、ハッブル宇宙望遠鏡が新しい宇宙を教えてくれました。それまで平面的な模様に見えていた星雲が、水の中に絵の具を散らしたような立体的な姿で目の前に現れました。この立体感は過去に見た星雲の写真では到底味わえないものでした。
ハッブルに限らず、最近の望遠鏡がとらえた宇宙は、かつての天体写真とは一線を画した精彩なものがたくさんあります。
太陽は11年周期で黒点が増えたり減ったりすることを子供の頃に知りました。でもいつも見る太陽は、常に同じように白く明るく輝いていました。宇宙研に就職して、これとは全く違う太陽の姿を目の当たりにしました。いつも同じ明るさに見えていた太陽が、実はX線で見ると11年周期で明るさが大きく変化していたのでした。しかも黒点が多い時期の方が、X線で見ると明るいのです。
さてそんな感動を凝縮した本はないかしらと、書店を放浪していました。子供向けに出された宇宙の本も、上に書いたもの以上に最新の映像がてんこ盛りです。今の子供たちは、生まれた時からこんな美しい宇宙を見ることができるのですね。そんな中で目にとまったのが、くだんのDVDでした。
星雲や銀河、太陽、月、惑星の映像に加えて、星座の話まで、1時間の映像に凝縮されています。字が読めなくても、これなら楽しめるはずです。
そして我が家で、さりげなくDVDをかけました。いやはや、探査機や最近の望遠鏡が捉えた宇宙の姿は、素人目にも美しいものです。
(そうです。私は天文学の素人です)
ひとしきり隣でDVDの映像を眺めていた息子は、今度は部屋の端に行って眺め始めました。そして一言。
「うちゅう、こわい」
な、何ですと??(orz)
その映像や音楽は、幼児にとっては暗闇に現れる異形の存在だったのかも知れません。
しかしそう思いながら改めて見ると、これら天体の映像は、美しいだけではなく、かつで読んだSFの世界をも凌駕した神秘の固まりです。
このメルマガをご覧の皆さんは、うちゅう、こわくないですよね。宇宙へのヒミツの入り口は、もうすぐそこです。
8月9日の相模原キャンパス一般公開では、皆様に楽しんで頂ける展示が多数登場予定です。こぞってお越し下さい。
そしてこれからも宇宙ではさまざまな新発見があることでしょう。子供たちにも新しい感動がありますように。
(三浦 昭、みうら・あきら)
相模原キャンパス一般公開
⇒ http://www.isas.jaxa.jp/j/topics/event/2008/0809_open/index.shtml
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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※
ISASメールマガジン 第202号 【 発行日− 08.07.29 】
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★こんにちは、山本です。
先週、携帯でメルマガを読んでいる読者からメールが届きました。
「さて、今週のはやぶさ君の様子は?
今週のはやぶさ君
⇒ http:......
て書かれると、古っるい機種しか持ってない私、手も足も出ないんです〜ぅ。」
ご要望にお応えして、「今週のはやぶさ君」担当のOさんと話をして、メルマガにも転載することにしました。
月曜日から、夏休み目玉イベントのひとつ『きみっしょん』が始まりました。
20名の高校生が相模原キャンパスを闊歩していますが、私には、彼らをサポートしている大学院生と見分けがつきません。
この頃の高校生は大人びているのでしょうか?
それとも、大学院生がいつまでも若々しいのでしょうか?
その答えは、是非「一般公開」で「宇宙へのヒミツの入り口」と一緒に見つけてください。
今週は、宇宙科学情報解析研究系の三浦 昭(みうら・あきら)さんです。
── INDEX──────────────────────────────
★01:うちゅう、こわくないよ
☆02:特集:太陽観測衛星「ひので」
☆03:今週のはやぶさ君
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★01:うちゅう、こわくないよ
先日、書店で天体観測のDVDを買ってきました。
目的はただ一つ、幼い息子に宇宙の感動を伝えること、でした。
遡ること○十年。私が生まれ育ったのは山の中で、曇りの夜は辺り一面真っ暗になるようなど田舎でした。逆に晴れた夜は、月が無くても建物や地面の姿がうっすらと見えるような、まさに星影が堪能できる所でした。
(そんな私にとって、東京で初めて見上げた夜空は、晴れているのに白々として、北斗七星が北斗5〜6星にしか見えない、謎の世界でした)
私の子供の頃はバイキングが火星に着陸し、パイオニアやボイジャーが次々と木星や土星に接近していた時期でした。残念ながらアポロの月着陸はリアルタイムには覚えていませんが、学習雑誌などでアポロが辿った行程を見てわくわくしたものです。
その頃は、新聞の一面に大きく載った土星の写真など、スクラップブックに貼ったりしていました。それまでの図鑑などに載っていた惑星の写真とは比べるべくもない、圧倒的な姿に驚きました。円に見えていた惑星は球形で、土星の輪は円盤なのだと実感しました。はたして火星に生命はいるのか?バイキングのニュースにのめりこんでいました。テレビで見た映像で、火星の空は赤い縞模様なのだと思っていたのですが、これは火星の夕焼けをデジタル処理した写真だったようです。……なんて勘違いもありましたが。
それから10年ぐらいたつと、ハッブル宇宙望遠鏡が新しい宇宙を教えてくれました。それまで平面的な模様に見えていた星雲が、水の中に絵の具を散らしたような立体的な姿で目の前に現れました。この立体感は過去に見た星雲の写真では到底味わえないものでした。
ハッブルに限らず、最近の望遠鏡がとらえた宇宙は、かつての天体写真とは一線を画した精彩なものがたくさんあります。
太陽は11年周期で黒点が増えたり減ったりすることを子供の頃に知りました。でもいつも見る太陽は、常に同じように白く明るく輝いていました。宇宙研に就職して、これとは全く違う太陽の姿を目の当たりにしました。いつも同じ明るさに見えていた太陽が、実はX線で見ると11年周期で明るさが大きく変化していたのでした。しかも黒点が多い時期の方が、X線で見ると明るいのです。
さてそんな感動を凝縮した本はないかしらと、書店を放浪していました。子供向けに出された宇宙の本も、上に書いたもの以上に最新の映像がてんこ盛りです。今の子供たちは、生まれた時からこんな美しい宇宙を見ることができるのですね。そんな中で目にとまったのが、くだんのDVDでした。
星雲や銀河、太陽、月、惑星の映像に加えて、星座の話まで、1時間の映像に凝縮されています。字が読めなくても、これなら楽しめるはずです。
そして我が家で、さりげなくDVDをかけました。いやはや、探査機や最近の望遠鏡が捉えた宇宙の姿は、素人目にも美しいものです。
(そうです。私は天文学の素人です)
ひとしきり隣でDVDの映像を眺めていた息子は、今度は部屋の端に行って眺め始めました。そして一言。
「うちゅう、こわい」
な、何ですと??(orz)
その映像や音楽は、幼児にとっては暗闇に現れる異形の存在だったのかも知れません。
しかしそう思いながら改めて見ると、これら天体の映像は、美しいだけではなく、かつで読んだSFの世界をも凌駕した神秘の固まりです。
このメルマガをご覧の皆さんは、うちゅう、こわくないですよね。宇宙へのヒミツの入り口は、もうすぐそこです。
8月9日の相模原キャンパス一般公開では、皆様に楽しんで頂ける展示が多数登場予定です。こぞってお越し下さい。
そしてこれからも宇宙ではさまざまな新発見があることでしょう。子供たちにも新しい感動がありますように。
(三浦 昭、みうら・あきら)
相模原キャンパス一般公開
⇒ http://www.isas.jaxa.jp/j/topics/event/2008/0809_open/index.shtml
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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※