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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第158号

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ISASメールマガジン   第158号       【 発行日− 07.09.25 】
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★こんにちは、山本です。

 今日2007年9月25日は旧暦の8月15日、つまり「中秋の名月」お月見です。(但し、満月は27日です。)

 月周回衛星「かぐや(SELENE)」が月の周回軌道に投入されるのは10月4日の予定ですから、「かぐや」に搭載されている高精細映像取得システム(簡単に言えばハイビジョンカメラ)が月からの「お地球見」の映像を送ってくるのは、まだ先のことになりますね。

 今週は、広報委員長の阪本成一(さかもと・せいいち)さんです。

── INDEX──────────────────────────────
★01:相模原キャンパス土日公開
☆02:月周回衛星「かぐや(SELENE)」の運用状況と今後の予定
☆03:宇宙を楽しむ市民シンポジウム【北海道新聞社本社】
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★01:相模原キャンパス土日公開

 このメールマガジンの読者の中に相模原キャンパスの一般公開に来られたことのある方がどのくらい含まれているのかは分かりませんが、毎年夏休み期間に1日だけ行っている相模原キャンパスの一般公開は例年大盛況で、コンスタントに10000名を超える方々にお越しいただいています。今年も7月21日という早い時期の開催にもかかわらず16200名もの参加をいただきました。会場はそんなに広いわけではないので、これだけの人数になるとかなりの混雑で、見学するほうも(もちろん説明しているほうも)半日もいると次第にへばってきます。もっとじっくり見たかったという方もいらっしゃったのではないかと思います。もちろん開発などとの兼ね合いから施設自体の公開はそう頻繁にはできないわけですが、せっかくの展示物などを年に1度しかお見せしないのはもったいないですし、特に近隣の方には気軽に遊びに来ていただきたいものです。

 そこでまず始めたのが、平日に展示エリアを個人でも事前申し込みなしでも見学できるようにすることと、8月に限っては土日にも見学できるようにすることでした。とはいえ相模原の展示室はもともと博物館としては体系的に作られておらず、普通だったら当然あるはずの
「ロケットが飛ぶ原理」とか
「液体ロケットと固体ロケットの違い」とか
「可視光と電波・赤外線・X線の違い」とか
「磁気圏とは何か」
などの導入的な説明展示が足りませんし、宇宙科学研究本部での研究を網羅しているわけでもありません。また、科学館などに模型などを貸し出しますので、展示されているものも流動的です。ですから、貸し出していない模型や熱構造試験などに用いたモデル、宇宙から回収されてきた実験装置などが集められてなんとなく展示室の体をなしているといったほうが正しい現状認識かもしれません。それでも、本物のもつ迫力というものはありますし、その気になれば最新の成果をすぐにパネルなどで紹介できるのも研究所併設の展示室のよいところです。研究室が同じ建物にあり、見学者からの質問に研究者や学生が直接お答えできるのも宇宙科学研究本部ならではのこと。宇宙科学に携わる人間の生態を「その場」観察していただくのにも意味があると思っています。

 準備不足を承知でやや強引に始めましたので宣伝も行き届かなかったのですが、お隣の相模原市立博物館での案内や口コミの効果もあって見学者の数は次第に増え、8月最後の日曜には1日に150名の方にお越しいただくまでになりました。市立博物館とあわせて見学される市内の家族連れの方が圧倒的に多いのですが、仕事が忙しくて一般公開になかなか来られなかった方が悲願の初来所を遂げたり、夏休みの自由研究のために半日「ISAS文庫」付近にこもる生徒さんがいたり、車椅子の団体さんが連日来られたり、職員が家族を連れてきたりと、いろいろなニーズがあるものだと実感しました。

 言い出した責任上、8月中は私も出張が入っていない土日を全て返上して相談員をつとめました。また、平日にも机とパソコンを展示室エリアに持ち出して、会議のないときにはそこで仕事をしていました。土日には職員や学生の有志が交代で相談員を手伝ってくれ、それぞれにアイディアを出してくれて、展示も少しずつよくなってきました。その結果、展示をじっくりご覧いただくだけでなく、スタンプラリーに熱中したり、家族と記念ポストカードを作ったり、あるいはビデオコーナーに腰掛けてミウラ折りやぬりえなどを楽しんだりと、幅広い年齢層の方々にそれなりにじっくりお楽しみいただけるようになってきたかなと思います。子供たちの姿があることで職場の雰囲気が和んだようにも思います。

 相談員としてさまざまな質問に対応しましたが、圧倒的に多かった質問は、

(1)「トイレはどこですか?」、
(2)「写真を撮ってもいいですか?」(答えは「ご自由にどうぞ」)、
(3)「スタンプは全部で何種類ですか?」(答えは「46種類」)、
(4)「この資料もらっていいですか?」(答えは「ご自由にどうぞ」)、
(5)「いつから普通に見学できるようになったんですか?」(答えは「今年7月下旬」から)、
(6)「記念ポストカードの照明のスイッチはどこですか?」(答えは「液晶モニターの左」)

 というような順でした。幸か不幸か「宇宙の果ての先は?」とかいう類の天文学者を殺す質問はあまり出ませんでしたが、せっかくだからもう少し宇宙科学関係のことも聞いて欲しかったな、などと贅沢なことを思ったりもしています。

 すでに今年の土日公開は終わりましたが、平日の展示室公開はいまも続けています。「かぐや」の打ち上げ中継イベントを行った9月14日にも、平日の午前中にもかかわらず40名を超える方々にお越しいただき、会場は立ち見状態でした。「かぐや」の観測機器の開発担当の方々にも同席いただきましたので、インターネット中継では味わえない臨場感・一体感が味わえたようです。それにしても、学校を遅刻することにしてまで打ち上げ中継を見に来た小学生が何人もいたのには驚きました。付き添いの保護者の方々も半ばあきらめ顔のようでしたが、これこそがゆとり教育の本質なのかななどとも考えされられました。

 プラネタリウムを持っているお隣の相模原市立博物館との連携も強めており、8月28日の夜に行われた皆既月食のイベントも一緒にやらせていただきました。このような地域連携も今後どんどん発展させていこうと思っています。

 時は至れり、いざJAXA相模原キャンパスへ。宇宙科学の現場は皆さんのすぐそばにあります。

(阪本成一、さかもと・せいいち)

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※