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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第118号

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ISASメールマガジン   第118号       【 発行日− 06.12.12 】
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★こんにちは、山本です。

 師走に入り、ISASでも先生たちが走り回っています。先週末は「宇宙学校・おきなわ」その前は「宇宙学校・あきた」。その上、12月と1月はシンポジウムや研究会が目白押しで、週に2回もシンポジウムが開かれることがあります。

 いつもはトレーナーやカジュアルなシャツでISASを闊歩している「先生」達が急にYシャツにネクタイのスーツ姿で現れるので、
「今日は外で会議ですか?」
「シンポジウムの発表?」
なんて、つい冷やかしてしまいます。

 今週は、宇宙環境利用科学研究系の黒谷明美(くろたに・あけみ)さんです。

── INDEX──────────────────────────────
★01:しづもんさ、しねえ子、いねがー。
☆02:X線天文衛星「すざく」の成果続々!
☆03:「はやぶさ」の近況と「はやぶさ-2」にむけて
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★01:しづもんさ、しねえ子、いねがー。

 11月25日の「宇宙学校・あきた」に参加しました。開催された場所は、宇宙研とたいへんゆかりのある、由利本荘市岩城地区「道川」です。

 羽田で、妙な赤鬼の面(この用途についてはISASニュース12月号の記事をご覧下さい)を荷物にくくりつけたH林先生に遭遇。そして秋田空港に着くと、親戚の結婚式に出席されるという、H林先生のお知り合いの宇宙論の研究者にばったり出会いました。

 その人との自己紹介で、お互いの口から出たのは「宇宙生物」、「降着円盤」など何とも特殊なことばでした。H林先生は「今の会話を聞いた一般の 人たちは何を想像したかねえ」と一言。
「宇宙生物」は宇宙人?
「コウチャクエンバン」は、なにやらベタベタした(膠着)円盤?
 宇宙人やUFOなどの怪しい研究者たちと思われたかも。さらに宇宙人と 「鬼の面」の関係を考察した人もいたのでは?

 「一般の人たちに講演したり、説明したりするときには、私たちが何気なく使っている専門用語は正しく伝わらないことがある、できるだけわかることばを使おう」という大事な心がけを思い出しながら、リムジンで秋田駅に。稲庭うどんや比内地鶏の味を堪能し、みやげもの屋で、現代版なまはげの「超神ネイガー」や悪役の「ホジナシ」などについて勉強しました。H林先生は、なまはげのお面の髪の毛の生え方について熱心に研究していました。

 こうして準備万端で宇宙学校当日を迎えました。

 どの時間も小中学生で大入り満員でした。2、3時間目のQ&Aは、それぞれの講師が、10分くらいのきっかけとなるような話をして、そのあとは ひたすら会場からの質問に答えるという宇宙学校独特のプログラムです。
秋田はシャイな子どもたちが多いのか、初めのうちはなかなか質問が出ませんでしたが、だんだんたくさんの手が上がるようになり、最後まで質問がとぎれませんでした。

 その中のごくごく一部を書いてみましょう。
・地球は進化しているのか?
・ロケットを打ち出す角度はどのくらいか?
・太陽の寿命は?
・帰還してきたロケットは本当に燃えるのか?
・ブラックホールに入ると出てこられるか?
・赤外線は熱なのにどうしてはっきりした写真がとれるのか?
・ずっと無重力だとアフリカツメガエルは回り続けるのか?
・地球以外に生物のいる星はあるか?

 私たち講師は、できるだけ専門用語を使わないように、わかりやすいように話そうと努めました。また質問が、質問した本人だけでなくみんなに意味がわかるように言い換えたりもしました。そんな中で、自分の体験をもとに、できるだけわかりやすいように質問してくれた小学生がいました。

・無重力環境に慣れた生きものが、地球に帰ってくると、今度は地球の環境にまた慣れるか?
という内容の質問だったのですが、彼は、「スケート靴を履いてスケートをしたあと、靴を脱いですぐは妙な感じだけれど、しばらくすると普通になる」という実際の経験を例にとって、質問してくれたのです。私はこれまで何回も宇宙学校に参加していますが、体験にもとづくこのような質問をされたのは初めてで、とても感心しました。

 講師の間でいろいろ考えましたが、どうしても意味がわからなかった質問もありました。

・ 宇宙にそこ(底?)がないというのはどういう意味か?

「宇宙の果ての話」?
「無重力の話」?
いろいろ聞き直しましたが、どれも違うようでした。その質問を理解してみんながわかるように言い直すこともできずに終わってしまったのが唯一の心残りです。

 さて、次回は12月9日の「宇宙学校・おきなわ」です。講師たちは、めげずにまた少しだけ進化しすることを目指して、このイベントに臨みます。

(黒谷明美、くろたに・あけみ)

http://www.isas.jaxa.jp/j/snews/2006/1127_akita.shtml

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※