宇宙航空研究開発機構 サイトマップ

TOP > レポート&コラム > ISASメールマガジン > 2006年 > 第112号

ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第112号

★★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ISASメールマガジン   第112号       【 発行日− 06.10.31 】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★こんにちは、山本です。

 今週号の筆者の周東さんもそうですが、出張が多くてなかなか会えない人がいます。Oさんは、M-V-7号機の打上げから帰ってきたと思ったら内之浦実験場の一般公開にとんぼ返り、最近また見かけないと思ったら、能代の実験場にRVT(再利用ロケット)の燃焼試験で出張中です。

 ISASニュースの編集委員会で毎月「東奔西走」の筆者候補を選ぶのが一仕事なのですが、外国にコダワラなければ、「南船北馬」とでもコラム 名を変えて大勢の候補者がありそうです。

 今週は、システム開発部の周東三和子(しゅうとう・みわこ)さんです。

── INDEX──────────────────────────────
★01:パリ・ロンドン観て歩記
☆02:宇宙学校・あきた
───────────────────────────────────

★01:パリ・ロンドン観て歩記

 IACバレンシア大会の展示要員でスペインまで出向いた帰りがけに、パリとロンドンの科学館、自然史博物館を視察して来るという、ありがたい出張を仰せつかった。パリ、ロンドンは初めて訪れる場所の上、バレンシアでは展示担当の一人が置き引きにあうし、テロ云々で空港警備は厳重だし、少なからぬ不安を抱えながらの、バレンシアからの出発だった。


・パリ/発見の殿堂
 コンコルド広場の近くにあるグラン・パレは、1900年万博では絵画と彫刻の展示に利用された建物で、外から見ると本当に古い建物なのに、中は最新の科学技術を紹介する「発見の殿堂」と呼ばれる科学博物館になっている。入口の吹き抜けのホールは、天井がドーム、床はモザイク模様で美しい。

 人間の誕生からコンピュータまで、科学、数学、医学、天文学を含む科学がテーマとなっている。展示は全体に光量を押さえてあり、テーマ毎にそれぞれ異なる雰囲気を持ったパネルづくりや展示で、見る、触る、聴くなどが体験できて楽しい。日曜だったこともあって親子連れが多く、父親が子どもにむかって熱心に説明する姿や、子どもより夢中で実験装置を動かす大人の姿を多く見かけた。

 特に興味を引かれたのは、各展示テーマ毎にミニ講義室や実験室が作られていて、大学と連携して、来館者に実験や講義をしてくれること。私がいったときも家族づれを相手に、熱弁を振るっている姿が見られた。

 フランス語はまったく分からないので、どういう展示方法かを見て回っているだけで2〜3時間はすぐ経ってしまった。プラネタリウムが人気だそうだが、フランス語を聞きながら暗闇にいるとどうなるかは自覚しているので、こちらは遠慮した。


・パリ/国立自然史博物館
 国立自然史博物館は1793年設立の歴史ある博物館。パリの植物園内にあって、古生物館や鉱物館・動物館・さまざまな研究棟から成り立っている。古生物館は、キュビエの研究していた脊椎動物や化石の資料が大半をしめる。クジラやマンモス、恐竜などの骨格が所狭しと並んでいる様子は迫力抜群で、圧倒される。展示品のラベルが手書きの美しい文字なのも印象深い。1994年にリニュアルオープンしたグランドギャラリー(進化展示館)は、展示場全体が暗くしてあって、等身大の動物たちがずらっとならんだパレードという展示が人気だが、ほうぼう歩き回った後だったせいか、あまり感動しなかった。


・ロンドン/自然史博物館
 ケンジントン公園のそばにあり、元々大英博物館の一部門として始まり、リチャード・オーウェンの提案により、自然史関係標本のための別館として1881年に建てられた、外観、内装ともにすばらしい建物。天井には植物画、階段の手すりには動物のレリーフ、天井に続く柱には猿が何匹もしがみついていたりで、装飾を見るのも楽しい。展示の方は、ディプロドクスの巨大な骨格模型のある広場を中心に、四方に広がる近代的な展示施設になっていて、生命ギャラリーや地球ギャラリーなどさまざまなテーマの展示があった。マルチメディアを駆使した展示があるかと思うと、19世紀のままの鉱物標本の展示あり、図書室あり、講義室ありで、ここも3〜4時間があっという間。我が家の子どもたちが小さい頃ご執心だった恐竜の化石に出会えて、ちょっとうれしかった。地下の食堂で一休みしないと全部見るのはなかなか 大変。学校見学で来ている子どもたちが何組も、課題の書かれた紙を抱えて走り回ったり、指導員と熱心にやり取りしていたり、この施設が十分学校教育に活用されていることが見て取れた。


・ロンドン/科学博物館
 自然史博物館で歩き疲れたので、よっぽどパスしようかと思ったが、すぐ隣なので訪ねてみた。あっ、そうそうロンドンの博物館は基本的に無料で、特別展だけ有料です!

 こちらは、科学博物館というより産業技術史博物館のよう。蒸気機関、機関車、船、飛行機、望遠鏡、計測機器、医療機器など、発明当初の物から現代(は余り目立たなかった)まで実物大の物が所狭しとならんでいる。
その物量と、旧い物を大事にする精神に感心してしまった。機械の好きな方にはおすすめスポットかな。


・グリニッジ天文台
 ちょっと郊外まで足を伸ばして王立天文台へ。ホテルで教わってカティサーク駅で電車を降り、緑がきれいな公園をぬけて、小高い丘を登ると天文台。丘の上からは、ロンドンの街並を遠く眺めることができる。東経から西経へ経度0をまたいで来た。すでに天文観測は行われていないけれど、観測ドームには昔の望遠鏡が据え付けてあって雰囲気満点。丘の途中には巨大な栗の木が沢山あって、近所の人が栗拾いのまっ最中。大きな袋にせっせと詰め込んでいた。


 テーマを持った旅っていいものですね。次は国内の科学館を少し回ってみようかな。

(周東三和子、しゅうとう・みわこ)

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※