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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第111号

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ISASメールマガジン   第111号       【 発行日− 06.10.24 】
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★こんにちは、山本です。

 M-V-7号機の打上げの後で、『ありがとうM-Vロケット、また会う日まで』『M-Vはウルトラマンのように逝きました』と続いたM-Vロケットを『送る』シリーズは、今週号の『新しい時代の幕開け』でM-Vプロジェクトマネージャの科学者らしい前向きな決意をいただきました。

 最近【Error Mail】として 返送されるメールがあります。そのほとんどが【@pdx.ne.jp】です。どうもメール容量が小さいのではないかと思われます。
【@pdx.ne.jp】ユーザの皆さん、不要なメールは、こまめに消去してください。

 今週は、宇宙輸送工学研究系・M-Vプロジェクトマネージャの森田泰弘 (もりた・やすひろ)さんです。

── INDEX──────────────────────────────
★01:新しい時代の幕開け
☆02:宇宙学校・あきた
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★01:新しい時代の幕開け

 全国の宇宙ファンのみなさん、これまでM-Vロケットの応援、本当にありがとうございました。今回の打上げはM-Vロケット最後の打上げということで、実験班のチーム一丸となった結束も見事でしたが、何よりも宇宙ファンの皆さんの声援に後押しされたきれいな成功だったと思います。

 M-Vロケットは全段固体で惑星探査までやり遂げることのできる、過去にも現在にも世界のどこにも他に例のない史上最高の固体ロケットです。
今回の成功でM-Vロケットの打上げは4回連続成功になり、まさに勝負はこれからというときです。野球に例えるなら、現役ばりばりのスター選手が、年俸が高すぎるというだけの理由で突如引退させられるようなものです。
ひとりの宇宙ファンとして、この美しいロケットの終了は大変もったいないと思います。

 しかし、ロケットの研究者としてはそうとばかりは言っていられません。M-Vが素晴らしいロケットであるが故に、M-Vを改良してさらによくしたいという熱い思いが沸々と湧き上がってくる。いつかは、M-Vを卒業して次の段階に進まねばならない。それが成長というものです。その時期がちょっとだけ早く来たということです。

 新しい固体ロケットの研究では、M-Vの未完の部分をぜひとも完成の域にもっていきたいと思っています。まずはコストと運用性の向上です。固体ロケットの組み立てや打上げ前のチェックは液体ロケットに比べて簡単でいいはずですが、M-Vの内之浦のオペはちょっと長くて大掛かりですからね。こうしたことをいち早く解決して実証するには、M-Vのような大きなロケットではなく、小型のロケットの方が都合いい。一方で、これまでのような大型科学ミッションばかりでなく小型衛星を高頻度で上げたいというサイエンスの根強い要望があります。つまり、新しい小型固体ロケットは、 ロケットの要請と衛星の要請が相思相愛の関係にあるといえるでしょう。

 だから、第一段階は、まず小型ロケットで行くのです。
もちろん、これで終わってしまってはしょうがない。次の段階では、小型で実証した成果を反映して、M-V規模のロケットを作りたいと考えています。
つまり、みなさんにはM-Vの後継機を2段階で作ると考えてもらえればわかりやすいと思います。

 M-Vの終りは新しい時代の幕開けです。今回の見事な成功で胸をはって、新ロケットの開発に入れます。わが国独自の固体ロケットの研究成果とM-Vロケットのよいところを最大限にいかして、ぜひともより良い固体ロケットを生み出していきたいと決意しています。

 全国の宇宙ファンの皆さん、これからも応援よろしくお願いします。

(森田泰弘、もりた・やすひろ)

M-V-7号機カウントダウンページ
新しいウィンドウが開きます http://www.isas.jaxa.jp/j/countdown/index.shtml

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※