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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第89号

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ISASメールマガジン   第089号       【 発行日− 06.05.23 】
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★こんにちは、山本です。

 先週号の気球の記事で、放球予定日を間違えて2005年5月25日と書いてしまいました。
読者の方から直ぐに間違いのご指摘メールを戴きました。どうも未だ私の頭の中が2006年になっていないようです。

 正しい日程は、2006年5月25日(木)です。
http://www.isas.jaxa.jp/j/snews/2006/0511.shtml

 それと、「のど飴」のことを書いたところ、風邪には「うがい」が一番!と何通もメールを戴きました。ありがとう御座います。「のど」の調子は良くなりました。

 今週は、高エネルギー天文学研究系の前田良知(まえだ・よしとも)さん です。

── INDEX──────────────────────────────
★01:X線天文衛星「すざく」、シュヴァスマン・ヴァハマン第3彗星を追う
☆02:赤外線天文衛星「あかり」初観測画像を公開!
☆03:宇宙科学研究本部 一般公開のお知らせ
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★01:X線天文衛星「すざく」、シュヴァスマン・ヴァハマン第3彗星を追う

 祝日の組み合わせに恵まれて今年のゴールデンウイークは例年になく大型でした。ちょうどそのころから新聞の3面記事を賑わせた彗星があります。シュヴァスマン・ヴァハマン第3彗星(73P/Schwassmann-Wachmann)です。いまから70年以上前の1930年に、ドイツのシュヴァスマンさんとヴァハマンさんによって発見されています。

 5.4年の周期で太陽を一回りする短周期彗星で、太陽に近づく頃に、地球にも大接近します。この太陽接近時に分裂・消滅を繰り返し、いまでは複数の核(破片)からなっています。そのうちB核は今年の大接近時にさらに分裂しました。5.4年毎にいろんな姿を見せてくれるサービス精神旺盛な彗星です。

 日本のX線天文学が誇る赤い鳥「すざく」も、このシュバハマン・バハマン第3彗星を追いかけ始めました。ただし、ほとんどの核はとても小さいので、いちばん明るい「C核」に狙いを定めることにしました。

 この謎の彗星、発音するのがむずかしいですが、これを追尾するのはもっと大変です。すざく衛星の姿勢制御は星のパターンを見ながら行います。例えば○○星座が右に見えて、××星座が左に見えたら、望遠鏡は☆☆の方向を見る、という風に方向を決めます。この方法はじっと動かない遥かかなたの星を観測する時にはとても有効です。が、彗星は刻々と星の間を動いていきます。その速度は一時間に17分角にもなります。星のパターンをめまぐるしく変更して、姿勢をちょいちょいずらしながら観測します。

 ちょうどこの記事を書いている5月12日に彗星は地球に最接近しています。あいにく関東地方は晴天に恵まれませんでしたが、雲のはるか上の衛星軌道を回るすざくは良質なデータをせっせと取っています。どんなX線像が受かっているのかいまから解析するのが楽しみです。

(前田良知、まえだ・よしとも)

X線天文衛星「すざく」についての解説記事は
新しいウィンドウが開きます http://www.astro.isas.ac.jp/suzaku/

シュヴァスマン・ヴァハマン第3彗星についての解説記事は
新しいウィンドウが開きます http://www.nao.ac.jp/phenomena/20060502/

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※