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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第59号

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ISASメールマガジン   第059号       【 発行日− 05.10.18 】
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★ こんにちは、山本です。
 今週もISASのWebページでは、嬉しいニュース、世界で初めて!のニュース等、話題満載です。ISASメールマガジンでは、VSOPチームに原稿をお願いしました。ということで
 今週は、宇宙科学共通基礎研究系の村田泰宏(むらた・やすひろ)さんです。

── INDEX──────────────────────────────
★01:VSOPチームのIAAチーム栄誉賞の受賞
☆02:Swift衛星世界で初めてショートバーストの位置決定に成功…中性子星の合体の証拠か
☆03:レーザ高度計によるイトカワの形状推定
    近赤外線分光器(NIRS)によるイトカワ観測の状況
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★01:VSOPチームのIAAチーム栄誉賞の受賞

 VSOPの仲間たちが、国際宇宙航空学会のチーム栄誉賞を受賞しました。
授賞式は10月16日に、福岡で行われる国際宇宙航空学会に先駆けて行われました。久しぶりに世界各国のVSOPの仲間たちが福岡に集まり、受賞の喜びを分かち合いました。

 VSOPは、電波天文衛星「はるか」を使ってスペースVLBIを行い、ハッブル望遠鏡で得られる解像度の約200倍の解像度の電波画像を作ります。VLBIは、距離の離れた複数のアンテナを組み合わせて1つの仮想的な電波望遠鏡を作る技術で、世界の端から端までの電波望遠鏡を組み合わせることにより、地球規模の電波望遠鏡を作ります。VSOPプロジェクトでは、「はるか」を使って宇宙までアンテナの広がりを延ばし、地球の大きさの約3倍の電波望遠鏡を作ることに成功しました。

 「はるか」の運用は他の科学衛星と同じように、内之浦の20mアンテナを利用してコマンドを送信します。そのほかに、観測時には、時刻の基準信号を送り、128Mbpsで送られて来る観測データを磁気テープに記録するための追跡局が必要で、日本の臼田10mアンテナ、NASA/DSNのゴールドストーン、マドリッド、キャンベラの11mアンテナの3局、NRAOグリーンバンク局13.4mアンテナの計5局を使います。さらに、「はるか」は、世界14カ国にある30あまりの地上電波望遠鏡といっしょに観測を行います。これらの電波望遠鏡から集めたデータを処理する相関器も、日本の国立天文台のほかに、米国、カナダに置かれました。

 VLBI観測を成功させるには、世界の電波望遠鏡を組織して同じ天体を同じように観測してデータを集めます。スペースVLBIはそれに加えて、世界の追跡局と衛星がからんできて、さらに難しさが増します。運用面以外でも、予算やデータ処理の問題等数多くの問題が発生しましたが、最終的には、VSOPの仲間のチームワークで、天文学的な結果が出るまでの道筋をつけることができました。

 このような道筋をつけるため、多くの国際会議が開かれました。そこでは、友好的にいろいろなことが議論され...とはいかず、いろんなところで意見の対立や激論がありました。しかし、会合が終わると、なぜか会議が行われたホテルのバーや近くの飲み屋にVSOPの仲間たちが集まっていて、会議での議論も含めたいろいろな議論に花を咲かせました。プロジェクト名前のせいなのか、飲むのが好きな人が多く集まりました。これも1つの成功の秘訣だったのではと思います。

(村田泰宏、むらた・やすひろ)

VSOP計画の詳細は
新しいウィンドウが開きます http://wwwj.vsop.isas.jaxa.jp/

ISASニュースの「はるか」特集号(No.221)
http://www.isas.jaxa.jp/ISASnews/No.221/ISASnews221.html


☆VSOPチームがIAAの2005年チーム栄誉賞を受賞
 スペースVLBI(超長基線干渉計)を世界最初に実現したVSOP (VLBI Space Observatory Programme)チームが、IAA(国際宇宙航行アカデ ミー:International Academy of Astronautics)の2005年チーム栄誉賞 (Laurels for Team Achievement Award)を受賞することになりました。

http://www.isas.jaxa.jp/j/snews/2005/1014.shtml

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※