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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第45号

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ISASメールマガジン   第045号       【 発行日− 05.07.12 】
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★ こんにちは、山本です。
 ASTRO-EII/M-V-6号機の打上げも無事成功しました。はるばる内之浦まで打上げを見に行かれた方、自宅でTVやインターネットで見てくださった方、応援有り難うございました。初めての試みとしてネットなどでお知らせしたASTRO-EII/M-Vロケット6号機打上げライブ中継@相模原キャンパスには、関係者を含め102名(近隣の方は21名でした)が参加されました。
 「すざく」が観測を始めるまでは まだまだ時間が掛かりますが、その前にちょっとスイッチを切り替えて、一般公開の準備をしなくては……
 さて今週は、的川広報委員長にお願いしました。

―― INDEX――――――――――――――――――――――――――――――
★01:M-Vロケット6号機がX線天文衛星ASTRO-EIIを打ち上げ、「すざく」と命名
☆02:ASTRO-EII/M-V-6打上げ成功  衛星名は「すざく」に
☆03:宇宙研一般公開(7/23)
☆04:HAYABUSA 小惑星「イトカワ」に向かって順調に飛行中!
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★01:M-Vロケット6号機がX線天文衛星ASTRO-EIIを打ち上げ、「すざく」と命名

 過酷な梅雨前線との戦いに勝利して、ついに7月10日、午後0時30分、日本で5番目のX線天文衛星ASTRO-EIIが軌道に乗りました。達成した軌道は、近地点245km、遠地点560km、軌道傾斜角31.4度です。内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられたM-Vロケット6号機は順調に飛翔し、発射後1307秒に3段目と衛星を分離し、衛星は一人旅に移りました。ここまでで、ひとまずロケットのグループは万歳や握手の嵐となりますが、衛星のグループは、これからが本番です。二つのグループは顔つきのスケジュールが異なっているのです。

 衛星は「すざく(朱雀、Suzaku)」と命名されました。最初のX線天文衛星が「はくちょう(白鳥、Hakucho)」だったので、白い鳥から赤い鳥へというのはいい発想かもしれません。どちらも、一度打上げに失敗した後の再戦機なのです。

 衛星に搭載されたスラスターは、地球の向こう側の遠地点周辺で400秒にわたって噴射され、ペリジーアップ(遠地点で増速すると近地点の高度が上がる)の噴射を行うことに成功しました。今後2日かけてさらにペリジーアップのための噴射を行って、最終的には550〜600kmくらいの略円軌道が完成されます。

 観測までに重要な作業が、あと2つあります。
一つは太陽電池パドルの展開、もう一つは望遠鏡の筒を伸ばすことです。これらすべてを7月15日あたりまでに終え、いよいよ観測に向けた作業が本格化していきます。連日の雨と風の心配の中で、昼と夜が逆転する生活を強いられた実験班のみなさんのご苦労は大変なものでした。気象班の人たちは眠れない日がつづいたでしょう。途中新聞記者の誰かが、「JAXAになったのだから、学者さんではなくてプロの気象予報士を雇ったらどうですか?」と質問をうけたのですが、「いやあ、彼らは気象予報士の採用テストで問題を出す立場の人たちですから」と笑ったのですが、実力を十分に発揮してくれました。

 打ち上げた後、私は新聞記者の人たちと呑むことになり、10人ぐらいの人たちと鹿屋で痛飲して、宿に帰り着いたのは午前2時過ぎでした。明日からしばらく禁酒です。実験班のみなさま、お疲れ様でした。全国から注目してくださったみなさま、本当に有難うございました。これから町の何人か方に挨拶周りをし、打上げ日の設定に当たってご協力いただいた宮崎県の漁連を訪問し、東京に帰ります。

(的川泰宣、まとがわ・やすのり)

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※