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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第21号

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ISASメールマガジン   第021号        【 発行日− 05.01.25】
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★ こんにちは、山本です。
 今春のスギ花粉情報がニュースになり、東京では去年の30倍もの花粉が飛散するようです。ISASの近くの八王子では60倍などと言われています。気象庁の発表では2月19日あたりから飛びはじめるらしいのですが、スギ花粉アレルギーのHさんはもう完全防護スタイルで出勤しています。ISASは宇宙科学の最先端だけじゃなかった?!
 さて今週は、システム運用部の加藤輝雄(かとう・てるお)さんです。
クリスマス島出張記を2回連載でお送りします。

―― INDEX ――――――――――――――――――――――――――――――
★01:憧れの島クリスマス島出張記 その1
☆02:今週と来週末です。
     「宇宙学校・倉敷」「宇宙学校・東京」開催のお知らせ
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憧れの島クリスマス島出張記 その1

 宇宙研のM-Vロケット実験班の中でクリスマス島へ行きたがっている人は結構いる。そういう人に限って出張の機会に恵まれない。私もその一人であった。何故かと言えば、クリスマス島への出張の機会はM-Vロケット打上げ時に有り、その時は、だいたいが打上げ現場(内之浦宇宙空間観測所)に居なければならない。それ故にクリスマス島へは行けない運命にある。ところが、今回、打上げ事前試験の必要性から、この憧れの島、クリスマス島への出張の機会を得た(バンザーイ)。これは、その出張記である(出張報告では ない)。

 クリスマス島はハワイの南2,000kmに位置する赤道直下の珊瑚礁の島である。そこにJAXAのダウンレンジ局がある。M-V-6号機では、この局を使用して3段目搭載テレメータの電波を受信する。クリスマスダウンレンジ局は、H-IIロケットテレメータの受信を目的として旧NASDAが設置したものであり、M-Vロケットの設備とは多少異なる。今回の出張目的は、この受信設備のM-Vテレメータに対する適合性試験を行う事と、新たに持ち込んだテレメトリモニタ装置やデータ収録装置の接続試験を行うことにある。この試験は当初、昨年の10月にM-V関連だけで独立して行う予定であったが、ハワイ、クリスマス島間の飛行機便が航空会社とキリバス政府との問題からか? 一時的にキャンセルされた。状況回復を待ったのであるが、結局今回のH-IIA関連試験に相乗りして行うこととなった。そのため、休日なしのタイトなスケジュールとなり、クリスマス島はごく一部を見たに過ぎないのだが、講釈師よろしくここに紹介する。同行者は、宇宙研の橋本正之さんと私、射場運用室の藤井さん、三菱商事の谷貝さん、そしてハワイで合流した米国VCI社他の6名である。旅行の手配など面倒な事は藤井さんと谷貝さんにやって戴き、宇宙研の我々はクリスマス島まで何とかくっついて行ったというのが実情である(その後このお二人には局での自炊のお世話やら何やらと、お世話になりっぱなしとなった)。

 さて、お話を少し前にもどしてハワイからの出発からとする。12月13日朝4時30分ホテルからタクシーでホノルル空港へ向かう(この日から睡眠不足の日々が始まる)。国際線のロビーへ行くのかと思ったら空港の外れにあるエアーサービスハワイなる小さな建物に到着。外はまだ暗い。5時半頃であろうか? 外で手荷物の重量を計りカートに乗せる。室内には白髪の男の人が一人居てパスポートをコピーしたりしている。どうやらこれが出国手続きらしい。建物の裏手が飛行場でそこに19人乗りのプロペラ機が出発準備をしてい る。クリスマス島まではジェット機で2時間の筈だが、どうやら違う(以前はアロハ航空がジェット機を運行していた)。
7時過ぎにプロペラ機に搭乗。これから延々5時間の空の旅となる。12時過ぎにやっとクリスマス島に到着。入国審査。NASDAかと聞かれYESと答える。荷物検査はフリーパスとなる。おかげで、ハワイで買い込んだ食料品(自炊用)は無事通過する。この島ではNASDAの名を出すと色々な面で効果絶大なようだ。JAXAと言ってもまだ通用しない?

 空港の建物は木造平屋の小屋と言った感じのもの。この空港ビルを一歩外へ出ると舗装なしの土の広場となる。近くに子供たちが興味深げにニコニコして集まっている。1時ころ車でダウンレンジ局へ向かう。30分ぐらいで到着。荷物を降ろして、チェックインのため宿泊するホテルへ行く。キャプテンクックホテルである。このホテルは、その昔イギリス・アメリカが駐留していた宿舎をその後旧NASDAが改装したものという。現在民間経営なのか公営なのかはわからない。少なくともJAXAの所有ではない。このホテルの注意事項を来る前に教えられる。タオルも石けんも無いから持ってゆくこと、ホテルの水道水は飲まないこと。少し前まではシャワーの水は塩辛かったとか・・・と、色々の注意を受けた。実際には、タオルもバスタオルも石けんも有った(ハワイで買った石けんも、念のためホテルから持ってきた石けんもいらない)。シャワーの水は塩辛くはなかった(水はちょろちょろしか出ないが)。部屋にはシングルベッドが2つ有り、枕元に錆びたライトがある(一方のライトは最初電球が無かった)。ガーガーうるさい冷蔵庫(この冷蔵庫のおかげで睡眠不足となる)にクーラーも有る。色々と不満はあるが、タオルは毎日交換してくれるし、掃除も行き届いている。チップもいらないし、慣れれば快適なホテルである。ホテルの建物は長屋風の平屋でコの字形に配置されている。裏手に草葺き屋根(椰子の葉葺き)のコテージもある。部屋数は30以上あるようであるが、泊まり客は我々以外に釣り客が一組あるのみで閑散としている。週1便の飛行機が19人乗りであるから、普段の客の数も想像できる。

 さて、ホテルでチェックインをすませ、ダウンレンジ局へ戻る。早速、3ヶ月前に発送した機材を開梱しセットアップする(机の上に並べる)。単体での動作確認問題なし。これで、一安心。明日からの試験準備完了である。夕飯をダウレンジ局ですませ(自炊)夜8時ころホテルへ帰る。ハワイの豪華なホテルを出て16時間余+24時間(日付変更線を越えた)、長い1日であった。

(加藤輝雄、かとう・てるお)

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※

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