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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第6号

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ISASメールマガジン   第006号        【 発行日− 04.10.12】
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★ こんにちは、山本です。
今週は、宇宙航行システム研究系の小川博之(おがわ・ひろゆき)さんです。
ISASメールマガジンも発行から1ヶ月経ちました。読者の皆さまの感想などをお寄せ戴けると、編集・執筆の励みになります。

―― INDEX――――――――――――――――――――――――――――――
★01:再使用ロケット実験機・RVT
☆02:世界で初めて太陽系外に「微惑星のリング」を発見
☆03:総合研究大学院大学国際シンポジウム 一般講演会「地球に近づく小惑星と人類」
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★01:再使用ロケット実験機・RVT

 私たち一般の人たちが普通に宇宙旅行している時代を想像してみましょう。調査によると、宇宙旅行のチケットの売り上げが最大になるのは、一人200万円くらいで、このとき全世界で年間75万人の利用が見込まれるそうです。

 年間75万人というと、例えば50人乗りの宇宙機が50機、ほぼ毎日(300日)飛んでいるような状況です。そういう時代の宇宙機は、今のロケットとは全く違ったものになるだろうということは容易に想像できます。

 宇宙機は完全再使用でなくてはなりません。一日50機、年間15000機のロケットが捨てられることは環境に悪いですし、第一経済的に成り立ちません。1回のフライトでチケット収入は1億円程度ですが、宇宙機運航会社はその中から、人件費、宇宙機の購入費、燃料代、整備費用などを賄わなければならないのです。宇宙機の値段が数百億円とすると、宇宙機は千回以上繰り返し使う必要があります。

 また宇宙機の信頼性も桁違いに良くなくてはいけません。今のロケットはどのロケットでも100回に1回は失敗していますが、同じ信頼性だとすると、二日に1回程度事故が起こることになります。これでは危なくてとても乗れませんし、宇宙機運航会社は経済的に成り立ちません。少なくとも今のロケットよりも信頼性を1万倍良くする、すなわち、百年に1回事故が起こる程度にしないといけません。

 宇宙科学研究本部のRVTと呼んでいる再使用ロケット実験機は、上で述べたような将来の宇宙機の実現に目標を置いて、必要な技術(繰り返し再使用運用・高信頼性)を、実際に運用して実証しながら習得することを目的としています。1999年の初フライト以降、3回のフライト実験を行い、着実に成果をあげてきています。1回のフライト実験では3回程度の飛行を行っていますが、飛行から飛行の時間は24時間以内に可能です。短時間に何回も飛ぶことにより、「今日の実験はこの結果になったから、明日はこうしてみよう。」というようなことができることは、大変大きなメリットがあります。

 RVTの実験は、将来の宇宙機の実現に向け、今後も新しい技術に挑戦しながら引き続き行っていきます。また、次の展開を目指して、高度100km(RVTは最高高度40m)まで到達でき、観測ロケットとして使えるような再使用ロケット実験機も検討しています。

 再使用ロケット実験機・RVTについてもっと知りたい人はこちら
新しいウィンドウが開きます http://www.jaxa.jp/news_topics/column/no3/index_j.html
http://www.isas.jaxa.jp/j/enterp/missions/muses-c/index.shtml

(小川博之、おがわ・ひろゆき)

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※