第6章 M-3SIIの衛星たち

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「あけぼの」の花魁のかんざし

電場・磁場・プラズマ波動について精度の高い観測を実現するために、数十メートルのアンテナや数メートルの伸展マストを持った「花魁のかんざし」と揶揄されるような形状の衛星が必要とされた。かつて「じきけん」では輸入したアンテナがうまく動作しなかったし、国内には本格的に使えるブームも無かった。そこで意を決して「あけぼの」では新規に国産のアンテナやブームを開発することにした。この「あけぼの」ミッションにおける三浦公亮・名取通弘たちを中心とするブームの開発や雛田元紀・森田泰弘たちの伸展物のダイナミックス解析こそ、後の「GEOTAIL」や「のぞみ」のアンテナやブームの理論的・技術的基礎になったものである。

「あけぼの」は総合試験でも問題が続出した。連日連夜のトラブルシューティングに頭を寄せ合う若手の技術者たち。そこには責任者も発注者も企業も無く、ただ一群の技術者が一つの問題の解決に頭を寄せ合っている姿があった。日本の科学衛星プロジェクトを支えた原風景である。

フライトモデルの組付け中に見つかった輸入耐放射線部品の大量欠陥とその緊急修復、軌道上でのはじめてのマスト伸展等、てんやわんやの衛星運用であった。しかも相模原の遠隔運用の努力が実り、他の科学衛星の管制にも大きな示唆を与えた。そして、一部の機器は機能を失ったものの、それから18年余り、「あけぼの」は2007年現在も未だ健在で、関係者を楽しませつづけてくれている。

「あけぼの/EXOS-D」の伸展マスト

「あけぼの/EXOS-D」の伸展マスト

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