第6章 M-3SIIの衛星たち

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エアロブレーキ技術

一般に惑星探査において、目標の惑星が大気をもっている場合、大気に探査機を突入させる際に生じる大気抵抗を利用して軌道の変更をすることができれば、軌道制御用のエンジンの燃料を節約できる。このことは、惑星探査が始まった当初から提案されていた。しかしながら、大気突入の軌道精度が十分でなく高度が低すぎると、大気抵抗が大きすぎて探査機を失う恐れが高い。特に惑星探査の初期の時代には、大気そのものについての知識や空力過熱量の予測についての理解が十分でなく、この「エアロブレーキ」と呼ばれる技術は、つい近年まで夢のままで終わっていた。

「ひてん/MUSES-A」地球大気を使ったエアロブレーキ実験

「ひてん/MUSES-A」地球大気を使ったエアロブレーキ実験

この技術を世界に先駆けて実証したのが、実は「ひてん」であった。スウィングバイの技術を実証するために計画されたこの衛星で「エアロブレーキ」の実証実験をやるアイディアは、打上げ前1年くらいの時期にその可能性が検討された。その結果、チタンの薄板と耐熱高分子フィルムを積層した特別性のブランケットで探査機の正面を覆い、計測として減速量の測定、探査機各部の温度上昇、空力加熱量センサーを搭載した。

実験は、一連のスウィングバイ実験が終了した1990年3月に行われた。遠地点はほぼ月の位置である36万kmから、地表高度125kmを狙い、遠地点近くでこの地表高度をねらった軌道制御を行った結果、高度124kmを達成し、そこでの減速量、加熱量の計測に成功し、世界で初めてエアロブレーキの実証に成功したわけである。続けて、高度120kmの高度でのエアロブレーキ飛行にも成功し、エアロブレーキ技術実証の目的を達成することができた。

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