第6章 M-3SIIの衛星たち

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今だから話せる話

ところである日、満田和久が言った。

──CCDカメラのカメラボディは、真空に封じた状態で打ち上げて、軌道上でバルブを開いて残留ガスの排気を行う予定でした。カメラボディの最終組立前までは問題がなかったのですが、最後の組立の後、真空の漏れがあることが分かりました。漏れの場所を特定するために、大みそかに田中靖郎先生自らヘリウムリークのディテクターを操作して、漏れ探しを手伝っていただきました。もったいない話ですが、漏れの場所は特定できませんでした。ノーズフェアリングをかぶせる直前から打上げ後にバルブを開くまでの時間と、それまでのカメラ内の温度分布の予想から、CCDに水がついてCCDが故障する確率がどれだけあるかについて喧々諤々の議論をし、最終的にこのまま進んでも大丈夫だろうということになり、打上げに臨みました。結果は大丈夫だったので、あのときの見積もりは正しかったということになります。──(満田)

打上げの現場における修羅場の一端を見る思いである。

「あすか/ASTRO-D」のSIS(X線CCDカメラ)

「あすか/ASTRO-D」のSIS(X線CCDカメラ)

──いやあ、一番参ったのは、2段目のTVC装置の噴出液が漏れて、結局は取り外すなど大騒ぎになり、打上げが1週間ぐらい延びたことですね。あのときは、電解液が関わっていたため、廣澤春任先生など偉い先生が寄ってたかって電気分解などの実験を始めたので、びっくりしましたねえ。あと、最高傑作だったのは、田中靖郎先生が衛星愛称についてまったく興味がないような顔をして、“打上げ前に愛称を議論するなぞ不謹慎”みたいな発言をしていたのに、いざ決める段になると、あらかじめ考え抜いてあったらしい提案を即座に出されたことです。──(松尾弘毅)

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