第2章 内之浦の登場

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内之浦浮上

周知の通り、地球は大きな磁石になっており、地理学上の北極・南極と地磁気から見た北極・南極は、約11.5度ほどずれている。そのため内之浦は、地理学上では北緯31度くらいだが、地磁気から見れば21度ということになって、地磁気上の低緯度観測に非常に適していることが分かってきた。さらに、将来気象観測を行う際に台風の状況を捕捉するのにも容易であること、県当局がきわめて好意的で実験場建設に対して地元の内之浦も含め強力な意志表示があったこと、晴天率が高いことなどが根拠になって、各省連絡協議会において内之浦が第一候補として選定されるに至った。

山地に造られた世界でも希な内之浦の発射場(2006年)

山地に造られた世界でも希な内之浦の発射場(2006年撮影)

東京大学は1961年4月11日にそのことを新聞発表したが、その中には、「秋田実験場は特別の事情のない限り高度300km未満のロケット飛翔実験に今後も使用する」ことが記載されていた。しかし後に述べるように、事実はその後「ある事件」を契機にして意外な展開を見せることになった。

さて内之浦が選定されてしばらくして、糸川は関係者を集めて説明会を行った。

──内之浦は未開の南国である。若い女性はみな美人で情熱的である。地元との友好関係を保つ意味から、女性問題を起こさないよう十分に注意してほしい。──

この糸川の言葉を受けて、ある会社では、鹿児島出張を前にして社内打合せを持ち、地元の女性に声をかけない、夜は10時を門限とする等を決め、厳戒体制を整えて出張したそうである。

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