第2章 内之浦の登場

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襟裳岬から種子島まで

北海道では襟裳岬の百人浜へ行った。海岸は平坦で広く、丘まで2kmある。7、8月はガスが多いが雪は少ない。観光地として有名なので道路はよい。しかし前面は有数の漁場で大陸棚も大きく、出動する漁船ははなはだ多い。

青森は下北半島の尾鮫(おぶち)海岸を調査した。ここも平坦で広い。民家からも遠いという好条件を持つが、一帯が民有地なので購入にお金がかかる。また冬は東北風が強くて寒く、雪も多くて交通に支障がある。開墾地に指定されているのでたくさんの人々が入りこんでいる。

茨城は、航空路の関係で北緯36度から36度30分がよいと言われていたので、鹿島町下津海岸・大洋村汲上海岸・鉾田町大竹海岸・神栖村奥野谷浜を現地調査した。ここには数度の調査隊を送って念入りに調査し、かなり有力な候補地となっていた。海岸は丘陵地だが広く、人家も少ない。しかしランチャー点として仮定された場所からきわめて近い所に十数軒の人家が発見されたこと、さらにここに到るためには県道からかなり長い引込み道路を建設しなければならないなどの難点が残った。東京に近く、四季の利用が可能で、県内に高層気象台があるなど、さまざまな長所を持っていたが、後に漁場と海上航路の点から決定的に不可能であることが明らかになった。

全国行脚の足跡

全国行脚の足跡
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和歌山県も調査された。突端の潮岬とその少し北にある梶取崎が候補に挙がった。潮岬は灯台とは反対側の権現鼻に空き地があるが、観光ルートに近すぎる。また梶取崎には草原の台地があり、実験場としてはまずまずの広さで、自動車でかなり近くまで行けることが分かった。人家からも最小限の安全距離を持っているし、1年中使える。問題は漁場と航路船が多いこと、航空路にかかっているという点であった。

宮崎県串間市の都井岬も、航空路が少ない点から再三にわたり調査されたが、最小限の空き地が見いだされず、ついに具体的な候補地が挙げられるに至らなかった。

次は大隅半島の内之浦である。生研の報告書には、次のように記されている。

──都井岬までの調査によって、九州南端は山岳地帯が多く、平地が少なく、太平洋が山ぎわまで迫っているので、実験場としてはきわめて悲観的な見方をされていた。内之浦から岸良まで県道をバスが通じており、その途中に農家わずか10戸ばかりの長坪という部落がある。ここは県道から海へ向かう斜面が比較的ゆるやかで、いくつかの丘陵がある。したがって、この丘陵地帯を削って台地を作り、その土で道路を作るという大工事を決心しない限り、ここでの発射場づくりは困難と見られた。おまけに電源は内之浦市街地から7kmも引き込まねばならず、しかも東京から遠いので輸送費はかさむ。ただし土地がほとんど林野庁所属の国有地であるという大きな利点があった。──

後に述べるように、これは糸川の本音とは随分と隔たった記述となっている。さらに調査隊は種子島にも足をのばした。西之表町の安納海岸、中種子町の上方海岸・熊野浦海岸、南種子町の広田海岸・下中海岸が候補地に挙げられた。調査の結果、この中では上方海岸が最良と判断された。ここは、道路が海岸線と直角に一本あるのみで人家から遠く、海岸も広い。難点は何といっても当時にあっては輸送の問題であった。

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