第1章 日本の宇宙開発のはじまり

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昔の人は偉かった

通産省の補助金をもらおうと、富士精密の戸田と垣見恒男が2人で通産省を訪ねたときのことである。

応対に出てきた通産省の若い官僚が、「国の金を使って利益を上げるとは何事か」とからんできた。若い垣見がキレた。

──あんた何を言ってるんだ。遊びでやっているわけじゃない。会社というのは、利益を上げることが主たる業務である。それを赤字でも何でもよいからやるというわけにはいかない。利益を上げるために国民の税金を使うとはとんでもないなんて考え方があるか。──

垣見は上司の戸田と通産省の課長の前で、つかみ合いにならんばかりの大げんかをやってしまった。向こうの課長が間に入ってやっと収まった、垣見は帰ってから戸田に「行政に対してなんてことを言うのだ」と怒られた。しかし垣見は「利益を上げることがまるで罪悪であるような言い方をする頭は治さないといけない。そういうのがこれから上へ上がっていく人間だとしたら、早いうちに治しておかないとおかしなことになる」と、譲らなかった。

しかし結局謝ろうということで、戸田に連れられて「悪いことをしました」と謝りに行ったところ、通産省の担当者も怒られたらしく、「官庁の方もとんでもないことを言いました。これはお互いに水に流しましょう」ということで収まった。

昔の人は率直で元気がよかった。

戸田康明

垣見恒男

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