宇宙航空研究開発機構 サイトマップ

TOP > レポート&コラム > ISASニュース > 連載の内容 > ISAS事情

ISASニュース

SPICA国際科学ボードの開催

No.423(2016年6月)掲載

 SPICA(Space Infrared Telescope for Cosmology and Astrophysics)計画は、宇宙が重元素と星間塵により多様で豊かな世界になり、生命居住可能な惑星世界をもたらした過程を解明することを目的とする次世代の赤外線天文衛星です。2027-2028年の打上げを目指し、日本と欧州が共同で開発を進めています。

 5月9日、10日、JAXA東京事務所(御茶ノ水)において、 JAXA SPICA国際ボードの第1回会議が開催されました。これは、JAXA宇宙科学研究所がSPICA計画を推進するにあたり、当該の分野において国際的に活躍されている指導的な研究者を招へいしてSPICAチームが目指す科学目的を吟味し、SPICAチームの活動に反映して計画をさらに発展させてゆくためのJAXAに対する提言をいただくためのものです。特に、日本と欧州のSPICA チームが準備を進めている欧州宇宙機関ESA Cosmic Vision M5(宇宙科学ミッションのM-Class)提案公募への応募にあたり、SPICAの目指す科学目的、期待される科学成果についての内容を吟味し、これをより明確かつ強力なものとするための助言が求められます。議長を務めていただいたフランスのDavid Elbaz博士をはじめ、欧州、米国、日本の11名の委員の方が参加され、真摯な議論と評価をいただきました。国際ボード会議は、欧米日の第一線の研究者の方々にSPICA計画についてより理解を深めていただき、真剣な考察をいただくための得がたい機会でもあります。

 会議では、日本のSPICAチームから、SPICAとその観測装置SMIおよびSAFARIについての紹介に続いて、SPICA計画の核となる科学目的についてのプレゼンテーションが行われ、大変活発な議論が行われました。国際科学ボード委員からは、多くの建設的な質疑、また、計画をより良くするための批判的な質疑が行われました。国際科学ボードからは、これらの議論に基づいて、JAXA宇宙科学研究所への提言が行われます。ここには、SPICAチームへの「宿題」が盛り込まれますが、これを踏まえて、欧州のSPICAチーム研究者とも十分に議論を重ねつつ計画提案を練り上げる努力をさらに続けてゆくことが必須です。

(山田 亨)

JAXAのSPICA国際科学ボート会議でSPICA計画について説明する計画代表者の芝井広教授。

JAXAのSPICA国際科学ボート会議でSPICA計画について説明する計画代表者の芝井広教授。 [画像クリックで拡大]