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ISASニュース

「宇宙探査実験棟」のご紹介

No.422(2016年5月)掲載

 夏の相模原キャンパス特別公開のおりカブトムシ採りを楽しみにしていた子供たちには申し訳ないのですが、平成28年3月中旬よりM-Vロケット実機模型の背後の区画にある樹木伐採が始まりました。次いで建築重機による敷地整備が行われ、キャンパス内の桜が満開となった4月初旬には、広大な空間が現れました(ISASニュース4月号表紙 PDFファイルが開きます)。この場所には、平成28年度末竣工(予定)の「宇宙探査実験棟」が建設されます。

 昨年4月、新しい組織である「宇宙探査イノベーションハブ」が設置されました。本組織は、JAXAの公的研究機関の特性を生かし、企業や研究機関から多くの人材や様々な知識を集めた新しい拠点となり、宇宙開発利用のための技術研究開発のみならず、地上産業にイノベーションを興すことを目指しています。この活動を効率よく実施するため、人や実験設備を一カ所に集約し相互に連携させる具体的な施設が、宇宙探査実験棟です。

 宇宙探査実験棟は、幅27m×奥行き32m×高さ12mの鉄筋2階建てで、飛翔体環境試験棟(C棟)と並ぶように配置されます。最大の特徴は、月惑星表面を模擬した広大な屋内実験場である「宇宙探査フィールド」を持つことです。これは、約400㎡(幅18m×奥行き22.5m、1-2階吹き抜け)の広さで、砂礫や岩等により起伏のある月惑星の表面地形を模擬し、実スケールの探査ロボットや着陸機を用いた探査活動の一連の性能・機能確認や運用試験等を行います。他に、宇宙探査フィールドに隣接して探査ロボット等を操作するためコントロールルームや、月惑星表面の特殊な環境試験装置のための実験室も併せ持ちます。また、この宇宙探査フィールドを見下ろす見学用の通路・窓を2階に備え、一般来訪者を受け入れることができます。宇宙探査実験棟の完成予想図を掲げます。多くの研究開発者が探査ロボット等を用いた研究開発を行う様子や、見学者の様子を描いています。この宇宙探査実験棟により、将来の宇宙探査のための新しい技術研究開発や人材育成・交流が、一層活発になるよう期待します。

(片山 保宏)

宇宙探査実験棟の完成予想図

宇宙探査実験棟の完成予想図 [画像クリックで拡大]