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ISASニュース

内閣府プログラムImPACT小型合成開口レーダ研究を宇宙研としてサポート

No.422(2016年5月)掲載

 このたび、内閣府の研究開発プログラム(ImPACT)の1つである「オンデマンド即時観測を可能にする小型合成開口レーダシステムによる安心の実現」プログラムに、宇宙工学委員会戦略的研究で進めてきた「小型合成開口レーダの研究」が採択されました。3年強をかけて100kg級の衛星に搭載できるような X帯の合成開口レーダを開発します。大規模地震などの自然災害が突発的に発生した場合に、悪天候や夜間でも即時に広域な被災地をレーダ観測できるよう、最適な軌道に小型衛星をオンデマンドで打ち上げて観測し、データを直ちに受信局へ伝送できるようなシステムを開発しようという野心的な試みです。宇宙研は、小型合成開口レーダシステムと観測データの受信局の技術実証を担当します。

 宇宙研で行ってきた、小型科学衛星「れいめい」などの実践的な小型衛星開発と、宇宙研電気グループのマイクロ波技術、通信技術が合体し、更には東京大学、慶応大学、東京工業大学、そして合成開口レーダ衛星に豊富な経験を持つ三菱電機が加わり、ユニークな技術開発を行っていきます。宇宙研職員や教員、修士や博士の学生、招聘職員、外国人のプロジェクト研究員等が自分たちの手と頭で解析や計測を行い、大企業だけではできないような野心的なアンテナやマイクロ波送信機を開発しています。

 これらの活動は、宇宙研の所内研究開発プロジェクトとして組織化されることになりました。現在そのプロジェクト移行審査を受けています。所をあげての支援は大変ありがたいことではありますが、その代わりにJAXAのプロジェクト管理のルールが要求されます。不慣れな書類書きの仕事が多くなりますが、それにめげずに、実践的な開発のペースは守っていこうという思いを強くしているところです。

(斎藤 宏文)

自然災害発生直後に小型レーダ衛星で監視を行うシステム

自然災害発生直後に小型レーダ衛星で監視を行うシステム