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ISASニュース

新たな大型パラボラアンテナの開発整備 本格稼働

No.420(2016年3月)掲載

 臼田宇宙空間観測所(長野県佐久市)の直径64mの大型パラボラアンテナは、その建設からすでに30年以上が経過し、老朽化が進んでいる状況です。そのため、現在および将来の深宇宙探査機の運用を切れ目なく継続すべく、新しい大型パラボラアンテナの開発整備を2015年度より本格化させています。

 新しい大型パラボラアンテナの建設予定地は、気象条件やアクセス性などの条件を踏まえて現観測所の近隣地域とし、北西に直線距離で1.5kmほど離れた、蓼科山の北麓を通る「蓼科スカイライン」沿いの国有林内を計画しています(ただし、冬季は通行止めの区間です)。

 新たなアンテナの直径は性能改善を反映してひと回りスマートな50m級に、そして対応周波数は現状のX帯(8GHz帯)に加えて、小惑星探査機「はやぶさ2」を含む将来の深宇宙探査ミッションに利用可能なKa帯(32GHz帯)も含める計画です。Ka帯では、アンテナのビーム幅(指向性の鋭さの指標)がX帯に比べて1/4程度細くなります。そのため、スマートになるとはいえ、総重量2000トンとも予想される50m級の巨大なアンテナを今まで以上に高精度に制御して動作させることも要求されます。

 現在、2019年度の完成を目指して、設計作業を進めています。また、現地の立木伐採作業を終えて、来年度には用地の造成作業を行う計画です。

 今後も適宜その進み具合を本誌などでお伝えしていきたいと考えていますので、応援をどうぞよろしくお願い致します。

(深宇宙探査用地上局プロジェクトチーム 沼田 健二)

新たな大型パラボラアンテナの建設候補地

新たな大型パラボラアンテナの建設候補地 [画像クリックで拡大]