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ISASニュース

X線天文衛星ASTRO-Hの機体公開@種子島

No.419(2016年2月)掲載

 日本の6代目のX線天文衛星ASTRO-Hは現在、打上げに向けて最終局面を迎えています。プロジェクトが立ち上がったのが2008年10月。長きにわたった開発が終わり、昨年11月27日に筑波宇宙センターで報道関係者向けに機体公開を行いました。その後、種子島に移送され、射場作業が現在行われています。そして、打上げ予定日までちょうど1ヶ月となる1月12日、今度は種子島宇宙センターで機体公開を行いました。

 機体公開には、主に地元のテレビ局や新聞社など7団体11名の報道関係者が参加しました。まず、竹崎展望台の記者会見室にて、高橋忠幸プロジェクトマネージャから概要説明を行いました。ASTRO-Hの意義と目標、これまでの経緯、観測装置、目標達成へのアプローチ、開発体制、開発履歴など、多岐にわたる話となりました。その後、第2衛星組立棟に移動し、2班に分かれてクリーンルーム内で取材していただきました。報道陣からは、ブラックホールと銀河の進化の関係や、昨年観測を終了した「すざく」との比較、マイクロカロリメータでX線を検出する仕組み、打上げに向けた意気込みなどについて質問がありました。機体公開終了後も、高橋プロマネや開発に携わったプロジェクト関係者へ、細かい点の確認など追加取材が行われました。

 この日の夜のニュースでは、鹿児島のテレビ4局でASTRO-Hが取り上げられました。科学衛星では最大級というスケール感や、250名を超える研究者が開発に携わったこと、巨大ブラックホールや銀河団を観測し宇宙の構造や進化の解明につなげることなどが紹介され、地元の多くの方々に存在と科学目的が周知されたのではないかと期待しています。翌日の地元紙および全国紙の朝刊でも取り上げられました。この原稿を書いている1月下旬、衛星フェアリング組立棟、大型ロケット組立棟でそれぞれ射場作業が行われており、その後、H-IIAロケット30号機に結合されて、2月に打ち上げられる予定です。

(飯塚 亮、矢部 あずさ)

ASTRO-Hの前で取材を受ける高橋忠幸プロジェクトマネージャ

ASTRO-Hの前で取材を受ける高橋忠幸プロジェクトマネージャ