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ISASニュース

SPICA国際科学評価委員会 開催

No.414(2015年9月)掲載

 次世代赤外線天文衛星SPICAはここ数年、より実現性を高めるために、国際協力の枠組みの大改革に取り組んできました。望遠鏡や観測装置の性能を含め、衛星の仕様にも大きな変更が行われ、打上げ時期も2020年代後半へと変更になりました。これに伴い、SPICAの科学目標も再検討が必要になりました。そこで、SPICAチームでは、「居住可能な惑星を育むに至った、重元素と固体による宇宙の豊穣過程を解明すること」という大テーマのもと、「銀河進化を通じた重元素と固体による宇宙の豊穣過程」および「惑星系の形成と居住可能な環境への発展」の解明を2大科学目標として再定義し、その先鋭化を進めてきました。

 7月15日、SPICAの新しい目標の価値を評価するための国際科学評価委員会が、フランス・パリにある国際会議場CAP15で開催されました。評価委員は、世界の第一線の科学者である、M. Rowan-Robinson教授(インペリアル・カレッジ・ロンドン)、M. Bureau教授(オックスフォード大学)、D. Elbaz博士(フランス原子力・代替エネルギー庁サクレーセンター)、P. Barthel教授 (フローニンゲン大学カプタイン天文学研究所)、A. P. Jones博士(フランス国立科学研究センタースペース天体物理学研究所)、M. Harwit名誉教授(コーネル大学)、G. Helou博士(カリフォルニア工科大学赤外線データ処理解析センター所長)、満田和久教授(宇宙科学研究所)の8名です。SPICAチームからは、日本とオランダから9名が参加しました。

 朝9時すぎに始まった評価委員会は、宇宙研の常田佐久 所長のあいさつと藤本正樹 宇宙科学国際調整主幹の趣旨説明の後、SPICAチームによる発表と活発な質疑応答が5時間以上続きました。最後に、10項目から成るExecutive Summaryが評価委員から発表されました。SPICAの新たな目標は高い価値を有するという評価とともに、いっそう価値を高め、幅広いサポートを得るための重要課題が提言されました。SPICAチームでは、これらの課題に対処しながら、ミッション定義審査に臨んでいます。

 なお、国際科学評価委員会の開催に当たり、宇宙研内外の多くの皆さまにご協力を頂きました。SPICAが素晴らしいミッションとして無事に羽ばたけるよう、今後ともご支援をお願いします。

(SPICAチーム 磯部直樹)

SPICA国際科学評価委員会の様子

SPICA国際科学評価委員会の様子