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ISASニュース

水星磁気圏探査機(MMO)、ESAへ引き渡し完了

No.412(2015年7月)掲載

 本誌5月号で、水星探査計画BepiColomboにおいて日本側が製作した水星磁気圏探査機(MMO)を宇宙研から送り出す際の様子をお伝えしました。今月号では、その後の様子を日記風にレポートします。

●4月14日、雨:MMOおよび試験装置類を積載した貨物機が、天候不良のため定刻をやや遅れて22時12分に成田空港を離陸。
●4月15日、快晴:貨物機は現地時間02時31分に約1時間遅れでオランダのアムステルダム国際空港に着陸。諸手続きのためいったん保税倉庫で待機。
●4月16日、晴れ:衛星コンテナを搭載したエアサスペンショントレーラーが09時ちょうどにESTEC(欧州宇宙研究技術センター)に到着。開梱室でコンテナを清掃した後、クリーンルームに搬入。
●4月17日、晴れ:MMO試験で使用する大量の試験装置および計算機類を輸送用木箱から取り出し、セッティング、ケーブル接続、動作確認を開始。
●4月20日、快晴:いよいよクリーンルーム内で衛星コンテナを開梱。MMOがオランダの地にその輝く雄姿を現した。詳細外観検査を実施。
●4月27日、晴れ:今日は祝日(King's Day、オランダ国王誕生日)でESTECも通常業務はお休み。オランダ国王の名前Willem-Alexander Claus George Ferdinand van "Oranje"-Nassauにちなみ、国中がオレンジ色に染まり祝賀ムード。しかし我々日本チームは計画通りMMO輸送後電気試験を実施。手順書に従い作業を進め、緊張の面持ちで外部電源を投入。MMOの搭載計算機が正常に立ち上がり管制画面にテレメトリデータが表示された瞬間、歓声が上がった。すべての手順を終えた後、チェックアウト室でオレンジ色の風船を膨らませオランダ王室の繁栄とMMOの成功を祈念した。この時期は21時過ぎまで明るく、残業している感じがしない。
●6月1日、曇り:計画された輸送後作業をすべて完了し、MMOのESA(欧州宇宙機関)への引き渡しを行った。

 これからは、ESAと協力しつつ欧州モジュールとのインテグレーション試験を進めていきます。

(前島 弘則)

国王誕生日、MMO電気試験を終えて。

国王誕生日、MMO電気試験を終えて