宇宙航空研究開発機構 サイトマップ

TOP > レポート&コラム > ISASニュース > 連載の内容 > ISAS事情

ISASニュース

日本地球惑星科学連合 2015年大会 開催

No.411(2015年6月)掲載

 本年度も日本地球惑星科学連合(JpGU)大会が行われた。パシフィコ横浜から幕張メッセに開催地が戻り、雰囲気も戻ったという印象を受ける。しかし、そこはJpGU大会。諸外国の学会機関との将来セッションなど、初イベントが企画されていた。その中で私にとっての初は、NASAとの共同展示における中学生向け企画である。

 NASAとの共同展示は、JpGU 2014年大会から行っている。NASA側は地球科学分野のディレクターであるMichael Freilich氏を中心に、JAXA側は宇宙研の太陽系科学研究系と地球観測研究センターが参加している。私は、藤本正樹 教授を補佐してきた。動き始めようという年明け、中学生向け企画を行いたいと伝わってきた。昨年度、高校生向け講演を非公式に行ったが、高校生は発表で忙しく参加率は良くなかった。そこで、中学生を対象に公式企画を行いたいという流れである。9枚のディスプレイシステムであるハイパーウォールでの講演を基軸に、いくつかの科学アクティビティ(真空実験や偏光板など)を回る形式に決まった。実行に際して、地学オリンピック日本委員会や東京大学サイエンスコミュニケーションサークルCASTにもサポートいただいた。千葉県教育委員会へイベントの趣旨を説明し、大会1週間前まで県内各中学校へ参加募集が行われた。最終的には約80名の千葉県の中学生が集まった。

 イベントはFreilich氏と藤本教授のあいさつから始まり、講演や科学アクティビティなど滞りなく行われた。中学生は初め緊張していたものの、慣れると、しきりに質問をしていた。4時間ほどであったが、JAXAやNASAの科学者と触れ合ってもらえたのではと思う。本原稿を執筆しているとき、アンケートが返ってきた。中学生は正直で、イベント前は「JAXAはNASAに少し劣っている」というイメージだったが、イベント後は「予想以上に考えている」と印象が変わった、というものもあった。私たちがやっていることを社会に伝えることは、私たち自身にとって重要であると再認識させられる。「7割は科学の面白さ、3割は英語の必要性を感じた」という感想もあり、国際的な世界に触れてもらえたのではと思う。また、中学教員から来年度以降もぜひ参加したいという声もあり、初年度としては成功であったのではと感じられた。

(飯田 佑輔)

ベNASAブースのハイパーウォールを使ってJAXAによるプレゼンテーションも行われた

NASAブースのハイパーウォールを使ってJAXAによるプレゼンテーションも行われた