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ISASニュース

BepiColombo MMO、ヨーロッパへ

No.410(2015年5月)掲載

 4月14日午前、水星探査計画BepiColomboにおいて日本側が製作した水星磁気圏探査機(MMO)本体が、宇宙研からオランダにあるESTEC(欧州宇宙技術研究センター)へ向けて搬出されました。地上支援装置や治工具などは前日までに搬出されました。この「引っ越し」に当たっては、輸出入に関わる手続きや契約に関わる業務、輸送業者や国土交通省との調整、ヨーロッパとの規格や安全基準の違いに起因する問題の調整など、搬出前までに膨大な作業が行われました。しかもMMO主力部隊はESTECに向けての出国日だったため、MMO搬出の当日の作業はジオスペース探査衛星ERGの部隊に支援していただきました。

 当日は雨の降る中、MMO関係者だけでなく、ERG、太陽系科学研究系ほか、契約部や科学推進部の皆さまに見守られながら、搬出作業が行われました。足かけ10年以上のプロジェクトで、フライトモデルの最終総合試験は約2年の長期間にわたっており、関係者の感慨はひとしおです。立派な横断幕を用意し、MMOの門出を祝って記念撮影を行う風景が見られました。輸送業者の方たちには、ちょっと異様だったかもしれません。

 MMOの方も居慣れたこの地を離れたくないのか、ぐずってなかなか出ようとしませんでした(衛星運搬コンテナのエアコンの起動にてこずりました)。「さすがMMO、すんなりと行かせてはくれんのう」。見送りに来てくださった方々が待ちくたびれる中、ようやくエアコンが起動すると、MMOが載ったトレーラーは、運転手さんの見事なハンドルさばきで1回も切り返すことなく宇宙研の門を出て、信号にもかからずにあっという間に国道16号に消えていきました。手を振って見送る皆さんを振り返りもせずに、足早に行ってしまいました。「さすがMMO、出るときにはあっさり行くものだのう」。

 関係者の皆さま、お疲れさまでした。見送りに来てくださった皆さま、ありがとうございました。MMOは4月16日、無事ESTECに到着しました。ESTECで輸送後のチェックを行い、6月1日にESA(欧州宇宙機関)に引き渡される予定です。

(小川 博之)

MMOを載せ宇宙研を出発するトレーラー

MMOを載せ宇宙研を出発するトレーラー