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ISASニュース

第7回「宇宙科学奨励賞」を吉岡和夫氏、山田和彦氏に授与

No.409(2015年4月)掲載

 公益財団法人 宇宙科学振興会の「宇宙科学奨励賞」は、平成26年度に第7回を迎えました。表彰式は3月10日に霞が関ビル内東海大学校友会館で開催されました。今年度は、宇宙理学関係ではJAXA宇宙科学研究所 宇宙航空プロジェクト研究員の吉岡和夫(よしおか・かずお)氏に研究課題「極端紫外光を用いた惑星圏の観測的研究」により、また宇宙工学関係ではJAXA宇宙科学研究所 助教の山田和彦(やまだ・かずひこ)氏に「柔軟構造による再突入飛行体の研究開発」により、それぞれ第7回宇宙科学奨励賞を授与致しました。

 吉岡和夫氏は、これまで惑星科学においては未開の分野であった極端紫外線による惑星内天体の観測手法を開拓しました。カッシーニ探査機による木星のイオトーラス付近の極端紫外線観測のデータ解析を手始めに、その後、独創的な極端紫外分光望遠鏡(EXCEED)の開発を主導し、それをイプシロンロケット試験機で打ち上げられた惑星分光観測衛星「ひさき」に搭載して観測を行い、大きな成果を挙げました。EXCEEDによる観測から、木星の外部磁気圏からイオトーラスに向かって高エネルギー電子が流入する現象について初めて確固たる実証をしたことは、特筆すべき成果です。

 再突入飛行体の開発は宇宙活動の基幹技術の一つであり、これまでの再突入飛行体は、小惑星探査機「はやぶさ」の帰還カプセルのように堅固な耐熱構造を有したシステムでした。これに対して、積極的に飛行環境を緩和して耐熱構造の軽減化を図る方向の研究開発も行われています。その中で、山田和彦氏はインフレータブルリングで支持されたフレア型柔構造エアロセルによる再突入飛行体システムの提案、柔軟飛行体の広範囲なマッハ数領域での空力特性の解明、柔軟構造による再突入飛行体システムの飛行実験による性能実証など、柔軟構造による再突入飛行体の研究開発に特筆すべき貢献を果たしました。

 当振興会は今回受賞されたお二人に心からお祝い申し上げるとともに、両氏が今後日本の宇宙科学推進、ことに惑星科学の発展の中心としてご活躍されることを期待しております。なお、両氏は表彰式において受賞記念講演を行っておりますが、その業績についてはいずれ『ISASニュース』において紹介いただく予定ですのでご期待ください。

(宇宙科学振興会 事務局長 長瀬 文昭)

受賞者を囲んで。

受賞者を囲んで。左より常田佐久 宇宙科学研究所長、田中正朗 文部科学省 研究開発局 局長、松尾弘毅、宇宙科学振興会代表理事、 吉岡和夫氏、 山田和彦氏、樋口清司 JAXA副理事長。