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ISASニュース

国立研究開発法人として

No.409(2015年4月)掲載

 2015年4月1日から、JAXAの法律的な地位が「国立研究開発法人」となりました。今般の改正独立行政法人通則法の施行によって、独立行政法人が3つに分類され、「国立研究開発法人」「中期目標管理法人」「行政執行法人」が設けられたことによるものです。従前の独立行政法人は業務の内容にかかわらず統一の運用ルールが適用されていましたが、今後は「研究開発」など多様な形態に応じたルールが適用されることになりました。JAXAには一段と高みを目指した取り組みが期待されることになります。

 国立研究開発法人の性格は、法律の条文に端的に示されています。参考に引用すると、「我が国における科学技術の水準の向上を通じた国民経済の健全な発展その他の公益に資するため研究開発の最大限の成果を確保することを目的とする独立行政法人」となります。研究開発を任務とする法人として、固定的な視野、変化に対応できない硬直的な業務運営、時間軸がずれた近視眼的な考え方など従前の制度で指摘された課題とは無縁の、柔軟で力強い組織体を目指すことが可能となったともいえると思います。

 ここで「研究開発成果の最大化」とあるのは、JAXAの活動により直接に得られる研究成果のみならず、大学や民間企業などほかの機関の研究開発成果も含めた、我が国全体としての研究開発成果を最大化することを指しています。宇宙研は大学共同利用機関として、我が国全体の宇宙科学をリードする役割を担ってきましたが、JAXA全体の改革とのシナジー効果を強く意識しつつ、ますますその役割を発揮していくことが必要となるでしょう。ここでのキーワードは「アウトカム」ということになります。

 学術研究成果のアウトカム目標をどう意識し記述し具現化していくのか。これには多様な議論が必要になると思いますが、あえて一言で言えば、既存の知識体系に対していかに斬新な知識や高い付加価値をもたらすのか、ということに尽きるのではないかと考えます。アウトカムが生じるかどうかは、そのインパクトの受け手や受け手につなぐ者の状況に依存する部分が大きく、自らのマネジメントだけでこれを実現・達成することができるとは限りません。まさに大学共同利用機関としての面目躍如たる活躍が期待されているところです。

(深井 宏)