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ISASニュース

れいめい君、9歳の誕生日を迎えました

No.404(2014年11月)掲載

 2005年に打ち上げられた小型衛星のれいめい君は、8月24日に満9歳の誕生日を迎えました。翌日の勤務時間後には、相模原キャンパス新A棟4階のれいめい運用室にて、ささやかな誕生パーティーを、れいめい運用に関わっているメンバーで行いました。写真は、恒例になっている、れいめい君の姿をチョコで描いたバースデーケーキです。

れいめい君9歳のバースデーケーキ

れいめい君9歳のバースデーケーキ

 れいめい君は、宇宙研の若手職員や学生が生みの親となり、体重が70kg、開発コスト約5億円で誕生しました。オーロラや大気光、スプライトなどの観測を行い、数多くの科学論文を生み出しました。その独特な開発手法や、低価格ながら高い信頼性を備えた小型衛星の在り方は、日本を代表する高機能な小型衛星として評価され、2012年度には日本航空宇宙学会技術賞を受賞しています。

 9月末には、JAXAのプロジェクトとしては終了することになりました。これからは、リチウムイオン電池の軌道上評価や衛星運用の省力化の研究開発のために、所内チームの形で運用を継続していきます。ぜひ10歳の誕生日を迎えさせたいと思っています。

 れいめい君の運用は、相模原キャンパス新A棟屋上の3.8mアンテナで行われています。近年、大学などが小型衛星を開発する機会が多くなってきましたが、打上げ後の衛星運用地上局の確保に苦労することが多いようです。そこで、大学共同利用の形態で、本アンテナを大学などの小型衛星運用に供することを計画しています。すでに、東京大学の「ほどよし3号」「ほどよし4号」、和歌山大学の「UNIFORM-1」の運用や受信を行っており、東京工業大学の「TSUBAME」の受信も準備中です。

 そのような大学共同利用のサービスだけではなく、最先端の研究開発として、Xバンド周波数を利用した高速ダウンリンク通信の技術開発を本アンテナを用いて行っています。すでに、「ほどよし4号」にて320Mbps、16QAMダウンリンク通信の実証にも成功しています。

 このように、れいめい君に続けとばかり、元気な弟が次々と誕生してきているところです。

(齋藤 宏文)