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ISASニュース

「はやぶさ2」種子島射場作業

No.404(2014年11月)掲載

 コンテナに収められた探査機が9月20日に相模原を出発し、22日に種子島宇宙センターに搬入されると、射場作業が着手された。まず、燃料・酸化剤・気蓄器・キセノンといった圧力タンク系の気密試験を実施した。先行して別路にて種子島入りして最終組み立てを行っていた、帰還カプセル・衝突装置・分離カメラ・ローバ・サンプラホーン・各種火薬類を、探査機へ順次取り付けた。

 10月7日は、気象衛星「ひまわり8号」の打上げのため宇宙センターへ入構できないので、休日の措置。代わりにH-IIAロケット25号機の勇姿を見送り、54日後に迫る我々の出番に闘志を新たにす。

 この前後、続けざまに台風18号・19号の襲来を受く。合わせて3日間宿舎待機を余儀なくされ、射場作業が進まない。遅れを取り戻すため、夜遅くまでの作業を強いられる。特にキセノン充填は中断できない昼夜兼行の連続作業のため、台風通過後にしか開始できないのだが、鈍足19号の動静にヤキモキ。昼夜2交代による4日連続作業にて、ようやく充填完了。引き続き、詳細電気機能試験・無線通信試験を行い、すべての搭載機器の健全性を確認した。

 種子島総合指令棟や相模原衛星管制室に人員を配し、インカムで連絡を取り合いながら、種子島衛星試験棟から探査機に実際にコマンドを送り、打上げから追跡に至るリハーサルを実施した。ロケット打上げカウントダウンの録音の放送をも交えて、実運用さながらの臨場感ある試験が行われた。同時に、私の胃がきしむ音も聞こえた。

 10月27日には種子島における機体公開が開催され、完成した探査機をお披露目(表紙参照)。この後は、燃料・酸化剤を充填してロケットの最上部に取り付けて、いざ深宇宙の大海原に挑む。

(國中 均)

組み上げられた機体と開発スタッフ。種子島宇宙センター衛星組立試験棟にて。

組み上げられた機体と開発スタッフ。種子島宇宙センター衛星組立試験棟にて。