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ISASニュース

「宇宙博2014」開催中

No.401(2014年8月)掲載

 JAXAも共催している「宇宙博2014─NASA・JAXAの挑戦」が、幕張メッセの国際展示場で7月19日(土)から9月23日(火・祝)まで開催されています。この特別展は、世界各国を巡回しているNASA公認の展覧会「NASA A HUMAN ADVENTURE」をアジアで初めて開催するもので、日本開催に当たってJAXA展も追加されました。

 展示物は実物や実物大模型が中心で、入り口付近に展開するNASAエリアでは、米ソ冷戦の体制下で技術力の象徴として急ピッチで進められた宇宙開発について、黎明期からスペースシャトルに至る有人宇宙開発に重点を置いて紹介されています。説明文がほとんどないので、資料や前提知識なしにはすぐには理解できませんが、ガイドブックをまず入手するなどしてじっくりと見れば、それが素晴らしい意味を持つものであることが分かるでしょう。

 一方、新規に制作されたJAXAエリアは、大型展示物の多いNASAエリアとはやや対照的です。例えばロケット関連では、ペンシルロケットやベビーロケットの実機、L-4Sロケットの4段目に相当する「おおすみ」の予備機などはどれも小さなものですが、低予算かつ軍事技術と一線を画しながら進められてきた日本の宇宙開発を象徴しています。イプシロンロケットのサブサイズモーターや再使用ロケットなど、現在進行中の研究開発の成果も取り上げられています。

 太陽系探査関連では、普段、相模原キャンパス展示室に飾られている小惑星探査機「はやぶさ」と相模原市立博物館に展示されている火星探査機「のぞみ」の熱構造モデルに、初公開となる水星探査計画BepiColomboの水星磁気圏探査機MMOの熱構造モデルが加わり、さらにはソーラー電力セイル実証機イカロスの帆までもが展示されています。金星探査機「あかつき」の熱構造モデルは存在しませんので、ハレー彗星探査機「さきがけ」「すいせい」以後に発展した日本の太陽系探査機の熱構造モデル・フライト予備品が初めて出そろうことになりました。小惑星イトカワの微粒子も、私が行った平日には比較的ゆったりと観察することができました。もちろん天文関係の展示もあります

 JAXA展示のもう一つの目玉は日本実験棟「きぼう」の精巧な実物大模型で、国際協力による宇宙開発を象徴しています。出口付近の書籍やおみやげ品のコーナーも充実していて、ついつい散財してしまいそうです。

 今回は科学館での企画展とは違い、研究の成果をほとんど盛り込んでもらえませんでした。とはいえ、これだけの規模の特別展示を企画・実現する力のある科学館が少なくなってきたのも事実です。まずは今回の機会をお見逃しなく。

(阪本 成一)

会場内のイトカワ微粒子の前でNHKラジオ第1放送の「夏休み子ども科学電話相談」に出演中の筆者