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ISASニュース

MAXIの論文が日本天文学会の欧文研究報告論文賞を受賞

No.398(2014年5月)掲載

 国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」に搭載した全天X線監視装置MAXI(マキシ)※1で目指す成果と装置設計を説明した論文※2が、日本天文学会の第18回欧文研究報告論文賞を受賞しました。授賞式は3月20日に日本天文学会春季年会で執り行われ、櫻井隆 日本天文学会長から論文筆頭著者の松岡勝MAXIチームリーダーに賞状が授与されました。この賞は、天文・宇宙物理学分野で世界を代表する学術誌である『Publications of the Astronomical Society of Japan』に過去5年以内に掲載された論文の中から、独創的で天文分野に寄与の大きい優れた論文に授与されます。受賞論文は2009年の出版以降、120件の研究論文で引用されています。

※1 MAXIホームページhttp://maxi.riken.jp

※2 論文 http://ads.nao.ac.jp/abs/2009PASJ...61..999M

 授賞理由※3は次の通りです。@地球周回に同期したISS の自転を逆手に取って利用することで、可動部なしで全天走査の機能を実現し、天体観測には適さないとされていたISSの常識を覆すなどの設計の独自性が高く評価されていること。A結果として、多数のX線天体の変動を記録するとともにX線新星の出現を検知し、突発現象を世界に通報するなど「広く浅く」見る機能を実現したこと。B同じX線でも「深く狭く」観測する「すざく」衛星と相補的であり、日本のX線天文学が持つ国際的地位を堅持する上で大きく貢献していること。Cこうした活躍によりMAXI は、ISS に搭載された最もコストパフォーマンスの良い観測装置として、国内だけでなくNASAでも高く評価されていること。

※3 授賞理由 http://www.asj.or.jp/asj/prize2013_reason.pdf

 2009年7月にスペースシャトル「エンデバー」 によりISSの「きぼう」に搭載されたMAXIは、現在も全天の高エネルギー天体を常時監視し、論文で予測した成果を挙げつつあります。現在、X線新星発見の半数以上はMAXIによるものです。今後もMAXIの活躍にご期待ください。

(上野 史郎)

賞状を授与される松岡勝MAXIチームリーダー(右)。

日本天文学会春季年会にて。