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ISASニュース

はまぎん こども宇宙科学館でイトカワ微粒子展示を実施

No.397(2014年4月)掲載

1月4日から2月23日まで、横浜市磯子区にある「はまぎん こども宇宙科学館」において、特別企画展「はやぶさ? アポロ! ちきゅう?! 宇宙の石大集合!」が開催されました。この企画展では、アポロ17号が持ち帰った月の石や、海洋研究開発機構(JAMSTEC)が所有する地球深部探査船「ちきゅう」によって掘削された海底下1750mの岩石試料と共に、JAXAが所有する小惑星イトカワの微粒子を展示しました。月の石、地球深部の岩石試料、そしてイトカワの微粒子と、人類が到達したいわば「最果ての地」の石を同時展示する試みは、世界初でした。

開催期間中、2週連続で関東地方を襲った記録的大雪のため、来館者数は一時伸び悩みましたが、最終的には約3万1000名のお客さまにご来場いただきました。特に、東北大学の中村智樹教授をお招きして開催したイトカワ微粒子に関連するトークイベントでは、定員260名のところ約1200名の応募があり、あらためて「はやぶさ」の偉業に対する注目度の高さを実感することとなりました。

企画展では、本物のイトカワと同じ密度の1/2000模型と、イトカワ表面の物質である普通コンドライトの代表的な密度の同じ縮尺の模型を、JAXA吉川真准教授からお借りして展示しました。来館者はそれらを実際に持ち上げて重さを比べ、イトカワの密度がどれくらい小さいかを体感できることから、好評を博していました。阪本成一教授よりアイデアを頂き、イトカワの微粒子のサイズとほぼ同じ粒子のサイズのサンドペーパーを貼り付けたものも展示しました。当館は低年齢層の来館が多いのですが、子どもたちも微粒子の大きさを体感できると人気がありました。大人の来館者からは、そのアイデアに感心したという声も聞かれました。

それらの展示の中でも横浜市における初の展示となったイトカワの微粒子がやはり注目度が高く、老若男女問わず、興味深く顕微鏡をのぞく姿が見受けられました。とても小さな55μmの微粒子を観察することが、子どもたちだけでなく大人にとっても、宇宙や科学に興味を持つ「きっかけ」となったのではないかと思います。

最後に当館で企画展を開催するに当たり、JAXAの皆さまには多大なるご支援ご協力を賜り、誠にありがとうございました。

(はまぎん こども宇宙科学館/櫻井英雄)

イトカワの微粒子を観察する来場者