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ISASニュース

BepiColombo MMOの近況

No.397(2014年4月)掲載

ESA(欧州宇宙機関)との共同で水星探査を行うBepiColombo計画においてJAXA側が製作する水星磁気圏探査機(MMO:Mercury Magnetospheric Orbiter)の日本における最後の試験であるFM(フライトモデル)総合試験を、相模原の環境試験棟クリーンルームで行っています。

MMOの姿から受ける印象は、側面パネルを取り付けたときと、それがないときとでは、大きく異なります。高さ1mほどの側面パネルの上半分には太陽電池が取り付けられています。この部分の温度をできるだけ下げるために太陽電池が取り付けられている部分の裏側は放熱面となっており、搭載観測機器などは太陽電池面の下端より下の部分、上部デッキと下部デッキの間の約30cmの空間にほとんどすべてのものが搭載されているためです。

MMOのFM総合試験もずいぶんと進み、環境試験の大物の一つである正弦波振動試験および、中利得アンテナ・高利得アンテナの展開に伴う高周波衝撃の試験までが終了しました。これで残る大物の試験は、8〜9月に予定されている4mチェンバーを使った熱真空試験のみとなりました。その後は重心測定・慣性能率測定・アライメント測定を行い、日本における最終の電気試験、バッテリー容量確認試験をもって、MMO単体での総合試験が終了することとなります。

来年1月にはESAのESTEC(欧州宇宙技術センター)へ輸送し、ESA側が製作・試験をしているモジュールである水星表面探査機(MPO:Mercury Planetary Orbiter)、巡行軌道中の電気推進モジュール(MTM:Mercury Transfer Module)、MMO用のサンシールドと組み合わせた母船総合試験を、来年末ごろまで実施します。全体確認を行った後、射場である仏領ギアナのクールーへ輸送。射場試験を経てAriane5ロケットによって打ち上げられる予定となっています。

(早川 基)

振動試験直前の全体像。側面パネルの上半分に取り付けられている太陽電池面の裏側には何もないことが見て取れる。