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ISASニュース

「宇宙学校・ふくしま」開催報告

No.395(2014年2月)掲載

1月26日(日)、福島県福島市にある、子どもの夢を育む施設「こむこむ」において、「宇宙学校・ふくしま」が開催されました。

福島市では、東日本大震災、福島第一原発事故による不安と風評被害から、多くの子どもたちが今もって県外避難や転校をしています。福島市の子どもたちは、頑張っているように見えますが、以前と比べて元気で華やかな声が少なく感じます。このような中にあって、今回の宇宙学校の開催は、子どもたちに夢と元気を与えるよい機会でした。地元の報道機関も宇宙学校の開催を大きく報道してくれました。NHKテレビではゴールデンアワーに「JAXAが特別授業」と題し放映、また地元新聞社は「ロケットの疑問解消・JAXA宇宙学校」と題して授業内容を紹介、JAXAの教育貢献活動が大きく評価されました。当日は、宇宙少年団員親子や福島市内の親子150人が集合、聴講しました。

授業1時間目は、嶋田徹教授の「ロケット研究の最前線:ハイブリッドロケットって何かな?」。固体燃料と液体酸化剤を利用し安全でコストが安いなど興味深い話から入り、将来の宇宙旅行やスペースデブリの回収など今後の開発が楽しみな内容。2時間目は、福島市出身の春山純一助教の「月探査機SELENE(かぐや)が見たもの」。月表面の元素分布、鉱物組成、地形観測など、子どもたちにも分かりやすい説明がありました。子どもたちからは、将来の月面基地の在り方など鋭い質問がありました。

今回の開催は、日本宇宙少年団福島分団の要請に対して、JAXAと会場のこむこむのご協力により実現したもので、福島市での宇宙学校の開催は初めてのことです。宇宙少年団福島分団は、福島市には科学館がないことから、明日を担う子どもたちのために宇宙科学を学ぶ機会をつくる目的で活動しており、宇宙学校の開催は大きな成果となったものと考えます。最後に、学校長を務められた阪本成一教授および講師とスタッフの皆さまに感謝申し上げます。福島市の子どもたちのために、今後よりいっそうのご支援を賜りますようお願い致します。

(日本宇宙少年団 福島分団きぼう副分団長・事務局長/齋藤秀男)

徐々にエンジンがかかり、「はい!」の声も会場に響き渡るように。

日本宇宙少年団 福島分団きぼうの団員たち