宇宙航空研究開発機構 サイトマップ

TOP > レポート&コラム > ISASニュース > 連載の内容 > ISAS事情

ISASニュース

第14回 宇宙科学シンポジウム開催

No.395(2014年2月)掲載

毎年恒例の宇宙科学シンポジウムが、1月9日(木)〜10日(金)の2日間にわたって相模原キャンパスで開催されました。

宇宙科学のすべての分野の研究者が一堂に集う宇宙研最大のシンポジウムであり、多数の研究発表(口頭24件、ポスター310件)や招待講演が行われ、最新の科学成果や新規技術について活発な議論と情報の共有がなされました。参加者は、両日とも300名を超えました。実質435名で、そのおよそ3分の2がJAXA以外の、大学や企業の研究者や技術者などでした。

このシンポジウムは、プロジェクトの成果や進捗状況の報告の場のみならず、年始恒例の放談会として、また新規ミッション立ち上げの登竜門として、重要な役割を担っています。今年度は、イプシロンロケット試験機の打上げが大成功を収めたことに加え、宇宙科学・探査のロードマップが宇宙政策委員会宇宙科学・探査部会に提出され承認されるという非常に大きなイベントがありました。そこで、新しく手に入れたイプシロンロケットという輸送手段をいかに活用しながら、これからの宇宙科学・探査ロードマップの内容を充実させ実行していくかという観点で、シンポジウム初日に「宇宙科学・探査のロードマップとイプシロンロケット」という企画セッションを設定しました。午前は、宇宙科学・探査のロードマップがどういうもので、その中で宇宙科学・探査をどう実現していくかについて、パネルディスカッションを中心にさまざまな分野の方々に議論していただきました。午後は、大成功を収めたイプシロンロケットと、試験機によって打ち上げられた惑星分光観測衛星「ひさき」、次に打上げが予定されているジオスペース探査衛星ERGについての講演に続き、今後の宇宙科学・探査にイプシロンロケットをどう活用していくか、グループディスカッションを交えながら招待講演と議論が行われました。「宇宙研はロケットがけん引する」という発言にもあったように、イプシロンロケットという新しい輸送手段を手にしたことで、非常に活気のある議論が行われました。この議論は、夕方の懇親会にも引き継がれ、お酒も交えてさらに熱い議論となりました。

昨年度の宇宙科学シンポジウムは、口頭発表の申し込みを制限し、企画主体のシンポジウムでした。これについては賛否両論あり、今年度は現在活躍中の宇宙科学ミッションの最新成果、開発中の宇宙科学ミッションの現状、ワーキンググループの活動状況、宇宙科学を支えるテクノロジーの開発についての口頭発表を受け付けました。企画主体と申し込み主体のスタイルを1年ごとに交互に行うのがよいのかもしれません。ただ現状は、研究発表の申し込みが相当な数に上っており、宇宙研の会場では収まり切れなくなっています。1日の参加者数は完全に大会議場の容量を超えていますし、ポスターも廊下の壁を使わなければならない状況です。また一方で、宇宙科学・探査プロジェクトの多くが国際協力で行われており、宇宙研にも多くの外国人研究者が滞在している状況から、宇宙科学シンポジウムの国際化を検討しなければいけないのではないかとの指摘があります。国際化、会場問題(シンポジウムの規模)、さらには今回から大きく変更しご迷惑をお掛けした参加申し込みシステムなど、宇宙科学シンポジウムの開催方法について考え直す時機なのかもしれません。ただし、最初に述べた宇宙科学シンポジウムの趣旨は、変わらず引き継がれなければならないでしょう。

最後に、本シンポジウム開催に尽力していただいた宇宙理学・工学委員長と幹事の皆さん、そのほかお手伝いしてくださった皆さんに、世話人一同、感謝致します。

(川田光伸)

パネルディスカッションのひとこま