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ISASニュース

N2O/ エタノール推進系 第7次システム総合燃焼試験(NEPT-7)

No.394(2014年1月)掲載

複合材料)の最高使用可能温度(内壁温度1600℃程度)におけるエンジン運転条件が確立され、エンジン性能を向上させることができました。今回は、新規に製作した開口比25程度の短いノズルを持つSiC/SiC複合材燃焼器を用いた燃焼試験が主な試験目的です。開口比25のノズルといえども、さまざまに苦労し製作に4年もかかってしまいました。このSiC/SiC複合材料は直径11マイクロメートルのSiC繊維を用いた3軸組みひもで、最初から狙った形状につくっています。3軸組みひもは、日本古来の伝統工芸「組みひも」に源流を持つ3方向に交差する繊維束によってつくられています。

さて、今回の実験期間中、特に前半の2週間はこの時期の能代にしては温暖で好天続きの天候に恵まれました。問題のSiC/SiC複合材燃焼器は30秒の燃焼試験を問題なくクリアし、次年度は高空性能試験スタンド(真空燃焼試験設備HATS)での試験を予定しています。また、SiC/SiC複合材燃焼器の燃焼試験に続いて実施した噴射器エレメント試験では、噴射器の性能向上に重要なデータ取得ができました。

参加した実験班員は1年目の新人から大ベテランの先輩方までの22名となりました。また、今回からは固体ロケット向け技術開発の一環として輸送ミッション本部から2名の若手職員も参加しています。今後も適用に向けエンジンの性能向上を目指した試行錯誤が続きます。

(後藤 健)

SiC/SiC複合材燃焼器の燃焼試験の様子