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ISASニュース

いまだ見ぬ「はやぶさ」

No.393(2013年12月)掲載

今年は小惑星探査機「はやぶさ」打上げ10周年の年であり、また「はやぶさ」プロジェクト終了の年でもありました。その節目に、「はやぶさ」が小惑星イトカワ周辺で実際にたどった様子を『はやぶさの軌跡』として映像化しました。映像制作の過程は、「ISASメールマガジン」477号(2013年11月12日発行)にも書きましたので、そちらのバックナンバーもご覧いただければ幸いです。
http://www.isas.jaxa.jp/j/mailmaga/backnumber/2013/back477.shtml

この作品では残された科学データに忠実に「はやぶさ」やイトカワの動きをCG化したので、実はつくっている本人にも、どのような映像になるのか、なかなか予測しづらいものがありました。描き上がった映像を再生してみると、「はやぶさ」が激しく揺らいでいて、こんな映像を公開してよいのか?と議論したこともありました。でもこれが、本当に「はやぶさ」がたどってきた道だったのです。

出来上がった映像は、10周年記念イベントなどで披露するとともに、全天周映像版を国際科学映像祭ドームフェスタにも出品しました。クレジットでは吉川真、山本幸生、三浦の名前のみとなっていますが、映像制作に当たっては「はやぶさ」関係者の方々からさまざまな助言やデータなどを頂き、そのおかげあっての作品となりました。幸いにもドームフェスタにおいてご高評をいただくことができ、また映像をご覧になった方の中にはTwitterなどで感想を書いてくださった方もいらっしゃって、これもまた恐縮の至りです。制作にご協力いただいた皆さま、ご覧いただいた皆さま、本当にありがとうございます。

ところで、この作品をご覧になって、「ここまでなの?」と思われた方は多いと思います。そうです。タッチダウンの寸前までしか映像がないのです。イトカワへのタッチダウンの瞬間は、もとになったデータを簡単には補正することができず、映像化には至りませんでした。

でも私も見たいです、「はやぶさ」のタッチダウン。
だから、映像の最後は「To be continued...」なのです。

(三浦 昭)

イトカワに降下中の「はやぶさ」(全天周映像版より)