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ISASニュース

オーロラの魅力を音楽とともに。「宇宙と音楽の夕べ」

No.391(2013年10月)掲載

JR横浜線・淵野辺駅のホームからガラス張りの建物が見えます。桜美林大学プラネット淵野辺キャンパス(PFC)です。宇宙研はこれまでも桜美林大学とはさまざまなイベントを共に開催してきていますが、「宇宙と音楽の夕べ」は特に好評な企画の一つで、今年で3回目となりました。

今回は「オーロラ〜光と音のハーモニー」というテーマで、9月15日(日)に開催しました。オーロラ映像と演奏との見事な調和。歌や朗読、さらに講演会をも組み合わせた内容です。3部構成の第1部では、Z.トペリウスの童話『星のひとみ』をもとにした脚本に合わせ、桜美林大学の松岡邦忠教授が作曲・指揮をして同大学の音楽専修の学生たちが演奏をしました。そのバックを彩るオーロラの写真は、川崎市在住のアマチュア天文家・小川誠治さんにご提供いただきました。第2部は、JAXAの阿部琢美准教授によるオーロラの仕組みや観測ロケット実験についての講演です。第3部では国際宇宙ステーションなど宇宙から捉えたJAXAの所蔵するオーロラ映像を背景に、音楽専修の教員によるG.フォーレ作曲『オーロラ』など4曲の演奏があり、実にぜいたくな時間が流れました。

この企画は、宇宙と音楽という意外な組み合わせが新しい価値を生み出しているところに意味があると考えています。宇宙科学に関する講演会を単独で開催する場合、市民はそのテーマに関心があれば参加しますが、関心が薄い場合は参加することはないでしょう。また、講演会という形式に敷居の高さを感じる方も多いと思われます。一方、今回のように音楽と組み合わせたイベントにすることにより、普段宇宙に関心の薄い市民の参加も期待できます。宇宙と音楽という組み合わせそのものに興味を持っていただけたのでしょう。当日は必ずしも宇宙ファンでない市民約200名が、オーロラの科学の話に耳を傾ける機会となったのです。今後もさまざまな機会を捉えて、これまでにないイベントの可能性を探っていきたいと思います。

(大川拓也)

抒情的な演奏と歌声でオーロラの映像が鮮やかに引き立った