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ISASニュース

I S T S 展示会開催

No.388(2013年7月)掲載

隔年で開かれる「宇宙技術および科学の国際シンポジウム(ISTS)」が6月2日(日)から9日(日)まで、名古屋国際会議場で開催されました。日本の研究者に最先端の知識と国際経験を与えるために糸川英夫先生が始めたとされるこの国際研究会は、今回で29回を数えました。これに合わせて展示会も行っていますが、今回は、会期中の平日にシンポジウム会場で実施するテクニカル展示(参加者と地元企業が主な対象)とは別に、期間全体にわたってパブリック展示(一般市民が対象)を名古屋市科学館で実施することとなりました。

名古屋市科学館といえば、多数の学芸員を擁する科学展示の一大拠点です。大きなドームとゆったりした座席で楽しむ生解説のプラネタリウムと、リニューアル後さらにパワーアップした展示が人気で、赤外線天文衛星「あかり」のプロトモデルも展示されています。多数の来場者が期待されるため、相模原キャンパス展示室からも惑星分光観測衛星や小惑星探査機「はやぶさ2」、水星探査計画BepiColomboのMMO、X線天文衛星ASTRO-Hといった、普段あまり貸し出さない模型を出展しました。

現地に行って驚いたのが「はやぶさ」の原寸模型です。愛知県武豊町(固体燃料の故郷)のボランティアが製作したとのことで、イトカワに不時着した様子を再現しています。搭載機器もよく再現されており、模型としては相模原キャンパスの展示ロビーのものより優れています。搭載機器の機能を理解した製作者が関与しているのでしょう。「はやぶさ」への深い愛を感じました。

そのほかにも実物大の陸域観測技術衛星「だいち2号」を投影面に見立てたデモ映像の上映や、宇宙教育センターによる子ども向けの工作教室などが開催されました。最終日には2000名程度の来場があったようです。

ISTSの会期中に会場周辺の小中学校に研究者を派遣する「宇宙一日出前授業」も恒例化しており、宇宙研からも多数の研究者が現地に出向きました。次回は2015年夏、神戸での開催となります。

(阪本成一)

愛知県武豊町のボランティアが製作した「はやぶさ」の原寸模型