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ISASニュース

第5回宇宙科学奨励賞、 内山泰伸氏と津田雄一氏に授与

No.386(2013年5月)掲載

公益財団法人宇宙科学振興会の宇宙科学奨励賞は平成24年度で第5回を迎えました。各分野の有識者で構成される選考委員会の審査・選考に基づき理事長の決裁を得て、宇宙理学関係では「科学衛星を用いたX線、ガンマ線観測による宇宙線加速の研究」によって米国SLAC国立加速器研究所、スタンフォード大学滞在中でパノフスキーフェローの内山泰伸氏に、また宇宙工学関係では「ソーラーセイルによる深宇宙探査・航行技術の実証的研究」によって宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所助教の津田雄一氏に、それぞれ第5回宇宙科学奨励賞を授与することになりました。表彰式は3月12日に霞が関ビル内東海大学校友会館で開催されました。

内山泰伸氏は、宇宙線の発見以来100年になる現在、いまだに明らかになっていない宇宙線の起源と加速機構を解明する重要な知見をもたらす先駆的研究を進めました。同氏は、「あすか」「すざく」「チャンドラ」「XMMニュートン」衛星によるX線観測、「フェルミ」衛星によるガンマ線観測、さらには「スピッツァー」衛星による赤外線観測など多波長で超新星残骸を観測し、データ解析を行いました。そして、そこから放射される非熱的放射成分の時間変動や、超新星残骸を囲む宇宙線ハローの存在などを発見し、宇宙線の生成領域と加速機構の解明の鍵となる顕著な業績を得ました。

津田雄一氏は、小型ソーラー電力セイル実証機IKAROSの開発および運用において主導的な役割を果たし、その成功に重要な貢献を果たしました。IKAROSはJAXAの宇宙研および月・惑星探査プログラムグループが開発し、2010年5月に打ち上げた小型実証機であり、世界で初めてソーラーセイルによる深宇宙航行を実現しました。津田氏はこの実証機の製作に当たり、ソーラーセイルの遠心力展開方式や姿勢制御システム、誘導航法の開発など、ソーラーセイル航法の根幹となる技術の開発において先鞭をつける研究を進めました。

当振興会は今回受賞されたお二人に心からお祝い申し上げるとともに、両氏がいっそう精進され、今後日本の宇宙科学推進の中心としてご活躍されることを期待しております。

(公益財団法人 宇宙科学振興会 事務局長 長瀬文昭)

両受賞者を囲んで。写真左より戸谷一夫文部科学省研究開発局局長、松尾弘毅代表理事、内山泰伸氏、津田雄一氏、上杉邦憲宇宙科学奨励賞選考委員長、藤井孝蔵宇宙科学研究所副所長。