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ISASニュース

ASTRO-Fプロジェクト終了、「あかり」の活動はまだまだ続く

No.385(2013年4月)掲載

赤外線天文衛星「あかり」(ASTRO-F)の開発・運用を行ったASTRO-Fプロジェクトが、3月31日付けで終了しました。「あかり」の取得した膨大なデータの処理・解析とアーカイブ化、天文研究者への配布は、新しく発足した後継組織「あかりデータ処理・解析チーム」が引き続いて発展させていきます。

「あかり」は、1998 年4月に開発がスタートし、2006年2月にM-Vロケット8号機によって打ち上げられました。2007年8月までの液体ヘリウム冷却期間中に、全天サーベイや数千の天体の指向観測を行い、その後も機械式冷凍機により一部の観測装置で2010年2月まで、1万を超える天体の観測を続けてきました。冷凍機の性能劣化や2011年5月に発生した電源系の障害により、科学的運用を終了。その後半年の運用チームの努力により、日本の衛星として初めてデブリ化防止のための軌道降下運用を実施し、同年11月24日に停波して運用を終了しました。

「あかり」の行った全天サーベイや指向観測データから、赤外線天体カタログなどの天文学研究の基礎データがつくられ、宇宙の新しい姿を明らかにした研究成果が得られていることは、本誌でもたびたび紹介している通りです。しかし、これまでに解析が進んだのは、まだまだ氷山の一角です。「あかり」の使命は、データを世界中の研究者に利用してもらうことです。

そこで我々は宇宙研の科学衛星としては初めて、衛星プロジェクトを終了した後にも、データ処理・解析の活動を組織的に継続することを提案しました。この提案は所内での議論を経て、4月1日にスタートした「あかりデータ処理・解析チーム」に結実しました。新チームはこれまでの「あかり」プロジェクトの活動を継続・発展させ、今後5年間で「あかり」のデータを研究者が使いやすい形に処理し、提供していきます。今後も「あかり」チームの活動にご注目、ご支援のほど、よろしくお願いします。

(山村一誠)

2月22日に行われたプロジェクト終了報告会に集まった開発・運用関係者。 どうもお疲れさまでした。